2018 Fiscal Year Research-status Report
王莽の「新」帝国を創建する標準化改革についての出土文物・文字による研究
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17K03133
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
馬 彪 山口大学, 大学院東アジア研究科, 教授 (20346539)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 王莽 / 新 / 帝国 / 都城 / 石 / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は本研究の本幹となる、「新」帝国北方・東南・西南・中原の出土文物・文字と文献史料の検証から順調に行うことができた。 1)漢と新莽時代に出土した画像石・墓葬・貨幣・印鑑・銅鏡・陶器・石碑・彫刻についての調査を行った。H29年度の研究と比べて、より詳細な器物調査と検証の段階に入っていることはH30年度の研究の特徴だといえる。特に王莽時代の度量衡器や漆器に関する資料に基づいての論文ができた。 2)新疆ウィグル自治区は2千年前の漢・新帝国の西域督護府地域であった。そこの出土文物と遺跡についての調査によって、漢と新莽時代の出土した墓葬や同時代の貨幣・印鑑・銅鏡、また陶器・石碑・彫刻、都城遺跡により該当地域における2千年前の実態をリアルに知ることになった。従って、今、「新」帝国の外交と冊封政策についての論考をまとめているところである。 3)貴州省は漢代にも多くの少数民族が存在した地域であるが、前漢・新莽・後漢期の漢化した文物と遺跡、特に今回重点的に調査した可楽遺跡の城と銅器などの発見は、王莽の標準化改革についての研究にとって大変有意義な史料となった。 4)河南省における漢・新莽帝国の史料調査、特に発掘最中に当たっている漢魏洛陽城遺跡で予測外に未公開の発掘現場を踏査することができ、本研究において多大な史料を得た。直接的に王莽の都改造についての論文の根拠となった。 5)H30年度の研究は主に王莽時代の都・度量衡・漆器をめぐって進んだが、成果は①「對戰國秦漢都城的文獻探討」(韓国)仁荷大学校伽耶文化研究所編『伽耶王城を探求』周留城出版社2018;②「秦・西漢容量「石」諸問題研究」『中国史研究』2018年第4期;③「王莽の長安都改造について」河合文化教育研究所『研究論集第14集』2019年;④『亙古漆香―欣賞傳世漆藝 品味傳統文化』2018年である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度の研究は研究計画に従い、順調に進んでいる。 事前の資料準備や個所の下調べにより、現地の研究者との連絡がスムーズに行えたこと、大学関係者から様々な協力を得られていることが、研究が順調に進展している理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度と同様に、H31年度も計画通り推進する予定である。具体的には以下の通りとする。 1.過去2年における中国の西部と黄河地域での調査とは違い、H31年度は、長江流域各省や北方の少数民族自治区における王莽時代の文物調査を行う。とりわけ前漢末~後漢初期の文物に着目し、貨幣・銅鏡・印鑑などの調査を重点とする。なお、H31年度までに実地踏査を完了できていない場所は、最終年度に可能な限り調査を実施する。 2.研究全体のまとめについて、本研究期間に得られた研究成果に基づいて、王莽の改革が、秦帝国時代の不合理な制度を標準化概念の導入によっていかに統一しようとしたかという視点から、本研究の主題となる「新」帝国における「標準化」政策に関する研究を行う。1)内地と辺地の「標準化」政策関連性や中央政策と地方政策の関係について検証する。2)王莽の標準化政策について、後の中世や近世中国の制度との比較により、「新」帝国における標準化が与えた影響について明らかにする。
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Research Products
(10 results)