2018 Fiscal Year Research-status Report
The social and intellectual dynamism of Southeast Asian Muslims: Perspectives from the regional variation of kitabs and change in periods of time
Project/Area Number |
17K03144
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
川島 緑 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (50264700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 由美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (80376821)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 東南アジア / イスラーム / 思想 / ムスリム / フィリピン / インドネシア / マレーシア / 宗教物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目にあたる本年度は、各自の役割分担に基づいてキターブの内容や出版状況について調査研究を進め、その成果を研究会で発表して共有し、共同研究を深化させた。具体的には「イスラ・ミッラージュ物語(マレー語、アラビア語、タイ語)」、「墓場の唄」、「魚の唄」(マレー語)等のテキストの講読、翻訳、分析を各自で進め、その成果を1月の勉強会や研究会を通じて共有した。さらに、マレーシア、サバ州のイラヌン人コミュニティーで6月と8月に2名で共同調査を行い、この地域で作成、使用されてきたキターブについて聞き取り調査や写真撮影を行うとともに、イスラーム教育、および、マレー半島や南部フィリピンとの人的、知的交流についてデータ収集を行った(川島、久志本担当)。8月にはエジプト、カイロで預言者ムハンマドのミウラージュ物語に関する資料調査を通じて関連文献を収集した(茂木担当)。9月にはフィリピンのマニラとミンダナオ島カガヤン・デ・オロ市にてキターブやイスラーム知識の伝達、イスラーム教育についてデータ収集を行った(川島担当、別財源による)。さらに2月にはインドネシア、ジャカルタのシャリフ・ヒダヤトゥラー国立イスラーム大学を訪問し、キターブやイスラーム思想に関する資料収集を行うとともに現地研究者との研究打ち合わせを通じて研究上のネットワーク形成を進めた。1月には「イスラ・ミッラージュ物語勉強会」、および、「東南アジアのキターブ比較研究会」を開催し、各自の研究成果を共有し、今後の研究の発展の基盤を固めることができた。これらの成果にもとづく英語論文集を編集中であり(川島担当)、2019年度前半に上智大学イスラーム研究センターよりワーキングペーパーとして刊行予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は各自が担当するキターブのテキストの講読・分析をほぼ予定通り進め、その成果を勉強会(1回)と研究会(1回)で共有することができた。研究分担者の所属先変更に伴い、新勤務先での業務や移動のため、本年度に予定されていたタイでの海外調査は2019年度に変更したが、それ以外の4回の海外調査は予定通り遂行することができ、研究会での海外調査報告を通じてその成果を研究参加者で共有することができた。英語論文集の編集作業には遅れが生じているが、2019年度夏までに刊行の予定である。このように、部分的には若干の遅れが生じているものの、他の面では当初の予定どおり研究を進めることができ、全体としては概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2019年度は、引き続き研究参加者間で緊密に連絡を取りつつ、各自の研究課題を精力的に進めるとともに、その成果を年2回の研究会で報告し、その成果を英語論文集として刊行する予定である。また、本年度から延期されたタイでのキターブ出版・流通状況に関する調査も実施する。これまで続けてきたイスラ・ミッラージュ物語の各言語テキストの読み合わせを継続するとともに、ジャワ、マレーシア半島部、フィリピン・ミンダナオ島ラナオ地方等のイスラーム来世観に関するテキストの比較研究も行う。これらの研究活動の成果を取りまとめて研究会で最終報告を行い、英文論文集を刊行する。
|
Causes of Carryover |
理由は以下の3点である。第一に、研究協力者のうち1名の所属先が変更になり、新たな勤務先での用務との関係で当該年度に予定していた海外調査実施が困難になり、次年度に延期したため。第二に、もう1名の研究協力者が本年度に実施予定であったタイでの研究調査が、先方受け入れ研究者の都合で実施できなくなったため。第3に、当該年度出版予定であった英文論文集の編集作業に時間がかかり、刊行が年度を越えて次年度前半に延期されたため。上記の海外調査は次年度前半に実施するとともに、英文論文集は次年度前半に刊行予定である。
|