2017 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Formation of Nationalism in China during the Early Period of the Cold War
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17K03149
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鄭 成 早稲田大学, 付置研究所, 客員主任研究員 (20386668)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ソ連 / 社会主義 / 文化的影響 / 民衆 / 受容 / 知識人 / 協力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、冷戦前半期(1950年代と60年代)における中国のナショナリズムの形成・維持過程とその特質を明らかにすることを目的とする。冷戦前半期を通じて、中ソ関係が同盟関係から対立関係へと大きく転換した。それにともない、中国人の外部世界への心情が最初の憧憬から次第に幻滅へ、最後の深い不信感に変わった。このような歴史体験が中国人のナショナリズム意識に色濃く影響を残している。 本研究は、対外関係をめぐり、中国の国内宣伝の論理と国民の自国認識・国際認識を取り上げて、両者が時代の変化を受けてかわっていく内容と過程を考察する。その考察結果をもとに、国民の自国認識・国際認識を土台に形成されたナショナリズムの特質を分析する。 本年度(1年目)は史料文献調査を通して中国の宣伝論調の把握に努めた。『人民日報』、『解放日報』の主要新聞紙を通して、三つの時期における国民向けの宣伝の主な論点を整理して、論調の変化を把握する。毛沢東、周恩来らの文集を通して、各時期の宣伝方針に関する指導部の考えを分析した。それと平行して、上海档案館と復旦大学当代中国生活資料センターで資料収集を行い、これらの資料を通じて、当局の宣伝に対する民衆の多様な受容を把握することに努めた。 上記の資料調査の結果を利用して、中国一般民衆に与えた当局のソ連宣伝の影響、中国人知識人に存在したソ連一辺倒の宣伝姿勢への多様な協力姿勢を考察する論考をを発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要内容となる中国での資料調査は、調査先の都合で変更を行い、復旦大学の当代中国生活資料センターを主な調査先として、これまでは2回の調査を行い、多くの収穫を得た。これらの資料収集の成果をもとに、今年度は計画通りに研究を進めて、学会報告と論文化を着実に進めて行く。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の今年度は、関係者へのインタビューを行う。中国国内の情勢などによって関係者へのインタビューが難しくなった場合、調査先を復旦大学の当代中国生活資料センターとアメリカのUCLAの所蔵資料にシフトして対応することを検討する。 今年度の調査結果をアジア政経学会で報告して、それをもとに論文化する。
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Causes of Carryover |
2018年3月に上海の復旦大学、華東師範大学で資料調査を行った。その時、滞在諸費用は2017年度の残額より大きかったため、やむを得ず次年度使用額を使うことにした。
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Research Products
(5 results)