2019 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative study on the acceptance and memory of Korean kamikaze pilot in Japan and Korea
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17K03152
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
権 学俊 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20381650)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 朝鮮人特攻隊員 / 国家暴力 / 国民意識 / 同化 / 記憶 / 知覧 / 忘却 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本における歴史学・政治学、文化史などの領域で植民地時代を考察しようとする研究が盛んになってきている。しかし、朝鮮人特攻隊員の存在と実態、日韓両国における位置、国民意識の違い等についてはいまだほとんど研究がなくその実態が明らかにされていない。 本研究の実績は、第1に「戦争」と「同化」と「国家暴力」が折り重なるように押しつけられた朝鮮人特攻隊員を綿密な資料検討に基づいて歴史社会的に究明する国際的な学際的アプローチを試みることができた点、第2に、朝鮮人特攻隊員一人を個別研究として仕上げることではなく、朝鮮人特攻隊員の包括的分析、すなわち「同化」政治の力学、植民地政策史上の位置、朝鮮人特攻隊員が創出・消費される力学の相違やその背景、メディアとの相互作用等々にわたる分析を通じて、日本と韓国の社会的特質、同調構造の動態と歴史変化とを浮き彫りにすることができた点、第3に、日韓両国の「同時代ナショナリズム」や朝鮮人特攻隊員に関する両国民の国民意識の変容等が検討できた点である。さらに、第4としては、以上の検討を通じて、日韓の近現代史と現在の私たちの課題を見直すことができたことである。日本が植民地に持ち込んだ「暴力」は日本にとって同時代性を帯びるものであることを明確にしつつ、日本とアジア諸国との記憶のずれと対話の可能性を再考できたことが本研究の一番大きい研究効果である。 一方で、残された課題もある。海軍の朝鮮人特攻隊員の存在や旧植民地・占領地(台湾など)の実態と存在については、あまり分析ができなかった。戦争の記憶を多角的・総合的に捉え返すためにも、朝鮮人特攻隊員の存在以外にも、植民地台湾の特攻隊員との対比は必要である。今後の課題として進めていきたい。
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Research Products
(4 results)