2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03167
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野村 真理 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20164741)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホロコースト / ミンスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、バルト三国や西ウクライナとの比較を念頭におき、ベラルーシ・ソヴィエト社会主義共和国の首都ミンスクにおけるホロコーストの特徴を、(1)ホロコースト以前のユダヤ人と非ユダヤ人の社会的関係、(2)ホロコースト期のユダヤ人とコミュニスト抵抗運動の関係に焦点をあてつつ明らかにすることである。 本年は、当初の計画通り、すでに手元にある研究文献ならびに文書館史料集の読解と、ウィーンのオーストリア国立図書館、オーストリア抵抗運動文書館(Dokumentationsarchiv des Oesterreichischen Widerstandes Wien)での文献ならびに史料の収集を行った。特にウィーンに行かなければ入手困難な文献として、ウィーンからミンスクに移送されたホロコースト犠牲者を記念するウィーンの団体IM-MER Initiative Malvine が発行する2冊の論集を入手することができ、オーストリア抵抗運動文書館では、ウィーンからミンスクに移送されたユダヤ人の回想記を読むことができた。 また本年は、当初は予定していなかったミンスクに調査旅行に行く機会を得て、ミンスク・ゲットー跡地ならびにユダヤ人虐殺現場となったマーリィ・トロスティネツを精力的に歩くことができた。さらにミンスクのユダヤ博物館を訪問し、館長から、ユダヤ人抵抗運動の生き残りの一人、ヘルシュ・スモラルが1946年にモスクワで刊行した貴重なイディッシュ語の回想記を贈られたのは大きな収穫であった。 なお、本科研費によるものではないが、本科研費研究にも関係する国際研究会として、2018年1月7日、8日の両日、ポーランドから2名の研究者を招聘し、「ユダヤ人とポーランド人――両大戦間期の反ユダヤ主義を中心に」を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、すでに手元にある研究文献ならびに文書館史料集の読解を進めた。資料・史料収集についても、オーストリア抵抗運動文書館(Dokumentationsarchiv des Oesterreichischen Widerstandes Wien)でホロコースト生存者の回想記を収集したほか、すでに刊行されている回想記集を古書で入手することができ、またスモラルのイディッシュ語による回想記を入手するなど、予想を超える収穫があった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度に継続して、すでに手元にあるものと本年度中に新たに入手したものとを合わせ、研究文献ならびに文書館史料の読解を進める。平成30年度のうちに、研究成果を研究ノートあるいは論文にまとめ、公表する予定である。 来年度の海外出張については、当初の計画ではエルサレムのYad Vashemホロコースト記念文書館でミンスクのホロコーストに関係する回想記を収集する予定であったが、「現在までの進捗状況」欄に記したように、本年度中にかなりのものが収集できた。そのため来年度は予定を変更し、クラクフ(ポーランド)の国際文化センターと東京外国語大学が共催する国際移動セミナーに参加し、「研究実績の概要」欄に記した研究目的の(1)に関連して、ミンスクをその一部に含む中東欧のユダヤ人の歴史について知見を深めることにする。
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Causes of Carryover |
海外出張期間が当初の予定より短期間となったため、次年度使用が生じた。次年度に繰り越した科研費は、海外出張旅費にまわす予定である。
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