2021 Fiscal Year Annual Research Report
Siberian Detainees from Manchuria: Socio-Historical and Gender Approaches
Project/Area Number |
17K03172
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 名誉教授 (40304068)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 満州 / 佳木斯 / 日ソ戦争 / 女性部隊 / 女子挺身隊 / 収容所 / 特別病院 / 引き揚げ |
Outline of Annual Research Achievements |
1945年の日ソ戦争後、満洲で生活していた女性は植民地支配のつけを払わされ、逃避行、自決、飢え、ソ連兵による強姦、子殺し、抑留など過酷な運命が待ち受けていた。満洲から引き揚げた女性に関しては、多くの手記が知られているが、抑留女性はあらぬ誤解をさけて沈黙を守ったので、ほとんど知られていない。ナホトカでシベリア抑留中にダンスホールに連れていってもらったという女性に関し、新聞社の取材を受けたのがきっかけで佳木斯第一陸軍病院の陸軍看護婦と知己になり、日赤看護婦、見習い看護婦、看護学生、女子軍属、女子挺身隊員を次々と紹介していただき、取材を続けてきた。 その一方で、モスクワの軍事公文書館で抑留者の移動名簿を調査する中で、多くの男性抑留者の中に女性抑留者の名前が混じっている名簿を発見した。しかも以前から取材をつづけてきた佳木斯第一陸軍病院の女性たちだった。 さらに、東京の日本赤十字社本社、広島と岡山の日本赤十字の図書館を調査し、抑留体験看護婦を東京、広島、岡山、愛媛に訪ね取材を続けた。その中で当時の看護手帳や捕虜郵便を発見することができ、また、彼女たちから収容所のことを聞き出すことが出来た。 佳木斯第一陸軍病院の引揚者たち親睦組織である佳院会が発行している雑誌「佳院会会報」を見せていただき、物故者となられた方の証言も収集することができた。 ロシアでは女性抑留者の目撃者や知人の証言を求めて、ハバロフスク、ビロビジャン、ペレヤスラフカ、ホール、イズヴェストコーワヤ、ライチハ、クレドール、ブラゴヴェシチェンスク、コムソモリスク、ザビヴィタヤ、チョープロエオゼロで取材を続けた。こうして得て証言を公文書の文書、同一収容所にいた男性抑留者の証言と照合し、『満洲からシベリア抑留へー女性たちの日ソ戦争』(2022年、人文書院、408頁)を刊行することができた。
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