2022 Fiscal Year Research-status Report
Democracy and Reciprocity: between Public and Private in 4th century Athens
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17K03173
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗原 麻子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (00289125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ギリシア / 法廷弁論 / 公私 / 公共性 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
アテナイの公私関係を考える上で、市民権と、市民が担うべき公共性は避けて通ることのできないテーマである。とくに2022年度は、女性に焦点を当てた研究活動をおこなった。 まず、『ネアイラ弾劾』の邦訳を出版したことを、本科研にかかわる成果として掲げておきたい。『ネアイラ弾劾』は、非市民女性を弾劾対象とすることから、女性市民も含めた、市民社会のありかたと、市民性を考えるための最適の資料である。出版に際して、女性市民権をめぐる詳細な解説をほどこした。女性市民権をめぐる考察は、年度当初に岩波講座『世界歴史』のための原稿としてもまとめることができた。女性の「声」として女性史を描くための準備を継続中である。 延期となっていたブロック教授の来日にあわせたワークショップCitizenship and Participation in Classical Athensを11月に大阪大学でハイブリッド開催した。ブロック教授の基調報告に、女性市民権、宗教、男性の市民性、外国人や商業従事者といった、市民権を巡る問題に取り組んできた我が国の研究者によるコメントと個別報告を加え、充実したワークショップとなった。研究代表者本人も企画のほか、先述のデモステネス59番弁論『ネアイラ弾劾』に現れる女性市民ポリティスの語についての分析をおこない、ブロック教授がこれまでCitizenship in Classical Athensほかの著述において重ねてきた女性市民ポリティスの研究に、いささかの貢献をすることができた。 さらに、本科研に関連して、コミュニティと情報の関係を通事的に比較検討するために、前近代のメディアをめぐる研究会を継続的に開催してきた。本年度も4回の研究会をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究期間内に、成果を著書にまとめるなど、十分な進捗がみられたが、コロナによる事業延期が生じていた。2022年度には、延期していたワークショップが実現されるなど、コロナによる遅延は概ね解消された。いっぽう、研究代表者の海外渡航による研究交流がいまだ実現できていないため、残る課題のうち、海外渡航による研究交流については2023年度に繰り延べておこなうため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年までに得られた新たな方向性として、(1)女性市民権にとってのポリス社会という視点から、研究を進めること、(2)前年までに得られた成果にもとづく国際的な研究交流と国際発信とアクセスしやすい媒体による研究成果の社会への還元、(3)メディアとコミュニケーションにかんする比較研究を通じた、公私関係についての発展的研究の3点が挙げられる。これらのうち、(3)については引き続き共同研究を継続するとともに、関連テーマを雑誌の特集企画の一環としてまとめる。(1)は、(2)と密接に連関するが、関連書籍の書評、一般書の出版準備を通じて実現するために、夏季以降に取り組みを進める。
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Causes of Carryover |
海外渡航にかかわる研究遅延により、再繰越を行ったため。なお、繰越した研究費は、海外渡航費と調査費用、関連図書購入費用に当てる。
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[Book] デモステネス弁論集72022
Author(s)
デモステネス、栗原 麻子、吉武 純夫、木曽 明子
Total Pages
464
Publisher
京都大学学術出版会
ISBN
978-4814003501
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