2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the inclusive process of interior resistance movements by Free France
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17K03174
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
渡辺 和行 京都橘大学, 文学部, 教授 (10167108)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジャン・ムーラン / アンリ・フレネ / 中央情報行動局 / 全国抵抗評議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、国内レジスタンスの統一に際して自由フランスの能動的で介入的な関与があったことを解明することを目指した。国内レジスタンスの統一には、自由フランスの情報機関たる中央行動情報局(BCRA)の能動的な働きかけや、ドゴールと国民委員会の代表ジャン・ムーランの献身的な行動があった。ドゴールにとって国内レジスタンス組織を全国抵抗評議会(CNR)としてまとめあげることは、対英米関係上も重要であった。そこで本研究課題においては、CNRの誕生に至るプロセスを跡づけ、CNR設立後も残る国内と国外のレジスタンスとの齟齬や国内レジスタンス間の論争などにも目配りし、レジスタンス神話から距離を置いた等身大のレジスタンス史像を呈示することを目指した。 ロンドンから国内レジスタンスへの連絡回路には、BCRAルートとムーラン・ルートの2つがあった。この2つのルートが、ムーランを議長とする組織に合流することでCNRが誕生するのである。資金・武器・情報などの面で、国内レジスタンス組織と自由フランスを結びつけていたのがBCRAである。BCRAは北部占領地区のレジスタンスの統一を担当し、ムーランは南部自由地区のレジスタンスの統一を主導した。しかし、両者の実態は分業と協業ではなくて競業であった。 最終年度は2つの回路が合流してCNRの設立に至る経緯と、自由フランスと国内レジスタンスとの不和、および国内外のレジスタンス指導者間の対立などについて解明しつつ、ムーランの指導力のもと、国内レジスタンスが自由フランスに包摂されていく過程を検討した。その過程で、南部レジスタンスの有力組織コンバの指導者アンリ・フレネとムーランとの確執が、ムーランがリヨン郊外でゲシュタポに逮捕される遠因となり、戦後にフレネがムーラン=ソ連スパイ説を唱え、そのスパイ説は1990年代にジャン・ムーラン事件として再興したことも解明できた。
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Research Products
(3 results)