2017 Fiscal Year Research-status Report
Newfoundland in the North Atlantic History: An analysis on unsuccessful and successful Confederation negotiations from 1860s to 1940s
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17K03181
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
細川 道久 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (20209240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニューファンドランド / カナダ / イギリス帝国 / ドミニオン / アメリカ合衆国 |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリス帝国最古の海外植民地ニューファンドランドは、カナダとは異なる歩みをたどってきた。カナダ連邦結成(1867年)の協議においては、代表を送ったものの、加入を見送り、その後1890年代まで続いた交渉も決裂した。1940年代に再開された交渉では、ついに妥結に至り、1949年、カナダに加入した。 本研究は、ニューファンドランドのカナダ連邦加入をめぐる1860~90年代の「交渉決裂」と1940年代の「交渉妥結」の双方について、英米加の関係に留意して考察し、それによって、カナダ周縁部からみた「もう1つのカナダ史」を描くだけでなく、19世紀後半~20世紀中葉の北大西洋世界の重層的構造や多重的関係の変容を明らかにすることで、英米関係を過度に重視してきた従来の北大西洋世界像の修正を試みるものである。 初年度にあたる平成29年度は、ニューファンドランド全般の歴史(大航海時代から1949年のカナダ連邦加入まで)の概要把握・執筆に重点をおいた。特に、カナダが「植民地からドミニオンへ、ドミニオンから主権国家へ」という歩みをたどったのに対して、ニューファンドランドは「植民地から(限りなく植民地に近い)ドミニオンへ、ドミニオンから(限りなく従属地に近い植民地である)行政管理統治へ」という道をたどったことを明らかにした。これによって、「ドミニオン」概念の多義性も明らかにすることができ、「もう1つのカナダ史」に加えて、「もう1つのイギリス帝国史」の一端を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ニューファンドランド全般の歴史に関する概説書の刊行に専念したため、カナダ連邦加入交渉(決裂、妥結とも)について、具体的に踏み込んだ史料収集に時間をかけることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
カナダ連邦加入交渉(決裂、妥結とも)について、特に決裂した交渉に関する史料収集を実施する。次年度は、特に、アムルリー委員会報告書を重点的に調査し、それ以前に行われ決裂した交渉を同委員会がどのようにとらえていたかについて考察する予定である。
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