2021 Fiscal Year Annual Research Report
Russian Revolution in Harbin : Russian Revolution and the Russia Abroad in Northeast Asia
Project/Area Number |
17K03182
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中嶋 毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70241495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロシア革命 / ハルビン / 在外ロシア / ソ連 / 白系ロシア人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、帝政ロシアの東アジア進出拠点として形成され発展した都市ハルビンにおいて、1917年のロシア革命がどのように展開したのか、そしてその挫折により形成された在外ロシア世界がソヴィエト体制といかなる関係を構築したのか、という問題を同時代の史料に基づいて実証的に分析することを課題とした。本年度は、1917年のロシア革命をうけて生じたハルビン革命ののちに、ハルビンのロシア社会の中心的存在であった中東鉄道管理局と同鉄道労働者との相互関係の変容を考察することを主要な課題とした。 この課題の遂行を通じて、以下のような諸点を明らかにすることができた。(1)ハルビンのボリシェヴィキ勢力による1917年12月の権力奪取の試みは、旧体制勢力の中核であった中東鉄道管理局長ホルヴァート将軍とこれを支持した穏健社会主義勢力たる鉄道従業員組合の抵抗により最終的に排除された。(2)政治的危機を乗り切った中東鉄道管理局は、鉄道経営の安定化を優先し、鉄道従業員の経済的要求に応えることはなかった。その結果、鉄道従業員は1918年9月と19年7月~8月に大規模なストライキを敢行して鉄道管理局の管理体制を揺さぶったが、スト自体は鎮圧された。ストの原因はもっぱら経済的要因によるものであったが、19年ストに際してはウスリー鉄道従業員ストとの連携など政治的要因も作用していた。(3)ロシア内戦による極東情勢の混乱と通貨暴落によって中東鉄道財政が悪化する中で、鉄道従業員の生活難が深化していった。ハルビンの労働者の気分は管理機関に反抗的となり、巻き返しを図る革命勢力は1920年3月に労働団体を糾合して政治ストを呼びかけた。この動きはゼネストへと発展し、ホルヴァート管理局長はこれを鎮圧しようと画策したが、利権回収の好機到来と見た中国軍がゼネスト鎮圧に乗り出すとともにホルヴァート管理局長も実力で排除した。
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