2019 Fiscal Year Research-status Report
US Refugee Policy and Social Support for the Hungarian Refugee Students after the Revolution of 1956
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17K03183
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (70363950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 難民政策 / アメリカ合衆国 / ハンガリー / 女性の性別役割 / 家族像 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はアメリカ政府による1956年のハンガリー革命の難民受入れ政策にアメリカの家族イデオロギーがいかに反映されていたのか、そしてハンガリー革命や難民支援に関わった女性たちがその規範にいかに抗おうとしたのかについて考察を行った。ハンガリー難民を新たなアメリカ人として宣伝したアメリカ政府の難民受入れ広報キャンペーンについては、ボン・テンポがすでに分析を行っているが、それを参考にしながら、『ライフ』誌のハンガリー難民関連記事を再検討するとともに、彼が言及していないハンガリー難民の実態を分析し、広報キャンペーンの内容がハンガリー難民の実態といかに乖離していたことを指摘した。加えて、難民救済で活躍したボランティア団体の一つであるアメリカのハンガリー人救済が発行したスタンプの表象を分析し、難民受入れと家族像との関係について考察を深めた。また、アメリカ合衆国政府の広報キャンペーンによって提示された難民家族像とは対照的に、ハンガリー難民や難民を取り巻く女性たちが当時の家庭や社会での女性の性別役割に反する行動をとっていたことに注目し、その活動を考察することによって、1960年代のフェミニズム運動が高まる直前のアメリカの女性たちが有していた焦燥感や私的領域に留まることがない女性たちの意思や行動力を明らかにした。これまで収集した史資料に加えて、8月に資料調査を行ったコロンビア大学ハンガリー難民プロジェクトの史料や国内出張で収集した『ライフ』誌や『ヴォーグ』誌の雑誌記事を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の研究成果として「冷戦期アメリカ合衆国の難民政策と家族―ハンガリー難民受入れと難民支援からみる家族と女性の性別役割―」の学会発表を行ったが(学会は台風により中止になったが学会ホームページにレジュメを掲載したことにより発表を行ったという学会の判断になっている)、アメリカ合衆国とハンガリーでの海外調査に充分な日程をとることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の学会発表の内容を論文にまとめ、新型コロナウイルス感染によって、2020年度8月には海外調査がむずかしいため、すでに収集した史資料を再度見直すなどして、残りのテーマについても取り組み、論文にまとめ予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度に予定していた海外調査ができなかったため、次年度使用額が生じた。2020年度に新型コロナウイルス感染拡大が終息したら、調査の計画を実行して遅れを取り戻したい。
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Research Products
(2 results)