2022 Fiscal Year Annual Research Report
US Refugee Policy and Social Support for the Hungarian Refugee Students after the Revolution of 1956
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17K03183
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (70363950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1956年のハンガリー革命 / アメリカ合衆国 / 難民学生 / 難民の社会運動 / 難民支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は最終年度であったため、本研究のこれまでの調査・研究成果をまとめた論文を執筆・発表するとともに、著書を刊行するためにその原稿の執筆を進めた。そのために不足していた史資料の収集のために、3月にハンガリー・ブダペシュトの国立図書館とアメリカ合衆国ワシントンD.C.の議会図書館で文献調査を行った。 2022年度に発表した論文は「1956年のハンガリー革命後の難民学生による社会運動」と題するもので、1956年のハンガリー革命後に出国したハンガリー難民学生による社会運動に着目し、その過程を考察した。国外への移動によって、学生たちは反体制派の亡命者と共に革命政権の国務大臣だったビボー・イシュトヴァーンへの支援活動を開始し、その人民民主主義の思想を自らのものとするようになり、アメリカ合衆国のキャンパスでアジア・アフリカ諸国出身の留学生と共有する反帝国主義・反植民地主義の社会運動のフレームを獲得した。アメリカの学生連盟から支援を受けたアジアツアーでは、ハンガリー難民学生の社会運動の思想の拡散の複数の可能性を見ることができた。インドネシアでは、難民学生に支援を行ったアメリカ政府の意図である中立主義や非同盟を批判する立場に反して、ハンガリー難民学生たちは人民社会主義、民族独立という自らの運動の目的を発信し、その思想を拡散した。それに対して、日本においては、当初計画していた全学連との会談は実現できず、帝国主義・反植民地主義のフレームは機能不全を起こしたが、甲府市での記者会見と講演会において表現されたように、大国ロシアに勝利した日本を讃えて、東洋のルーツを持つことを強調することによって、ハンガリーへの共感と共にソ連に対抗する国民としてナショナリズムを喚起しようと試みた。その他の成果については執筆中の著書に含める予定である。
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Research Products
(1 results)