2018 Fiscal Year Research-status Report
比較による日本の近世フランス史学のための基盤的研究ーー語彙をめぐる検討から
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17K03189
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
高澤 紀恵 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80187947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹生 尚子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70783702)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 絶対主義 / 王政 / 共和政 / フランス / 近世 / 翻訳 / 鍵語彙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、日仏近世社会を分析する日仏グロッサリーの作成を第一の目標に、鍵語彙の析出を第二の目標に、さらに日仏近世社会研究の基盤づくりを第三の目標に設定している。2018年度は、この目標達成にむけて着実に研究を進めることができた。研究代表者、分担者、協力者、ならびに一橋大学の森村敏己は、2018年度も5月18日、19日、7月27日、9月3日、6日、9月15日、16日、17日、10月12日、13日と、ロベール・デシモン、ファニー・コサンディ著『フランスの絶対主義』を題材に翻訳・研究会を重ねた。当初の予定通りに訳出を終えただけではなく、グロッサリーの作成、「憲法」「主権」など鍵語彙の析出に着手することができた。東京、神戸、長崎と拠点を異にする仲間とのコミュニケーションは、メール、ドロップボックスを活用することで、議論を着実に共有、蓄積してきた。日本における研究ネットワーク作りは順調に進展している。 これらの成果は2019年度中に岩波書店から出版されることになっており、今後の日仏比較研究の堅固な基盤となるものと思われる。 また、日本の近世史研究者、フランスの日本研究者、フランス史研究者との協働も順調に進んでいる。2019年の春に、高澤、佐々木、竹下、芹生は渡仏し、社会科学研究院を中心にフランス側の研究者(ギヨーム・カレ、ロベール・デシモン、ファニー・コサンディ)との議論を重ねた。その成果として2020年度末のフランスでのワークショップの計画が具体化しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり、日仏近世社会史研究の鍵概念の析出を順調に進めることができた。他方、高澤が本務校を替わるという予期せぬ事態がおこったために3月の計画を事前に立てることができず、EHESSでのゼミ報告を実施することができなかった。かわりに、高澤は3月に短く渡仏し、研究協力者の佐々木真、竹下和亮とともに、ロベール・デシモン、ギヨーム・カレ、ファニー・コッサンディらと個人的に議論を深めてきた。その成果は、2019年に計画している出版計画ならびに春のワークショップに反映されるはずである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書では最終年度にあたる2019年度には、「成果のアウトプットと日仏近世社会研究への総合」を目標としている。予定どおり、2019年度中に研究分担者、協力者は分担して鍵語彙に関する論考を書くと同時に、絶対王政研究の意義についての論考を共同執筆することになっている。また総括のための研究合宿を11月に長崎で予定している。 その成果は早ければ今年度中に岩波書店から刊行される予定である。
他方、フランスの研究者を招聘した研究集会を日本で開催することを予定していたが、日本の近世史研究者とともに2020年春にフランスで行う予定をたてている。その成果は、現在準備中の日仏同時出版の論文集に結晶するものと考えている。
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Research Products
(5 results)