2018 Fiscal Year Research-status Report
近世ロシア帝国に生きた民族の軌跡と記憶についての研究
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17K03192
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
豊川 浩一 明治大学, 文学部, 専任教授 (30172208)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バシキール人 / 近代ロシア / イヴァン・キリ-ロフ / オレンブルク / ウファー |
Outline of Annual Research Achievements |
第1、実施計画の国際学会での報告を論文として査読付きの学会誌に掲載することについて。論文として学術雑誌に掲載された。それが、The Strategy of I.K. Kirilov toward the South-East Russia,Cross-Cultural Studies: Education and Science,Vol.3,Issue II,June 2018,pp.7-20.(査読有)である。 第2、研究の進捗状況に関して国際的な観点からレヴューを受けるための方法について。上記の論文を基にThe Academic Expeditions in the Eighteenth-Century Russia and the Changing Space Recognition: The Strategy of I.K. Kirilov toward the South-East Russiaと言うテーマで、国際学会Study Group on Eighteenth-Century Russia: X International Conference(2018年7月6~11日、ストラスブール)で報告した。 第3、報告内容の検証について。2019年1月と3月の2度にわたりロシアに出張をして、モスクワにある国立図書館および歴史図書館、さらに古法文書館(RGADA)での資史料調査を行った。それによって、報告内容についておおむね正しいことが証明されたものの、新たな問題点も見いだされた。 第4、外国人研究者との研究交流による研究の進展を図ることについて。18世紀ロシア史の専門家である科学アカデミー国民経済・国家勤務研究所リペツク支部ペトロヒンツェフ教授およびモスクワの古法文書館館員エルモラーエフ氏から、バシキール人の民族英雄の記述について新たな見解を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1、計画していた報告内容を英語論文にして掲載するという点については、上で述べたように、査読を経て国際的な雑誌に掲載された。 第2、計画としてあげた研究の進捗状況について国際的な観点からレヴューを受けるため、および研究の質や精度を向上させることについて。国際的な学会で報告し、そこで研究者から多くの示唆を受け、また質問や意見を受けることによって目的が達成された。 第3、報告内容の検証についても、ロシア・モスクワへ2度の出張を行ない、同市にある国立図書館および歴史図書館、さらに古法文書館で具体的な資史料調査によってそれを完遂することができた。以上を通して、上記(第2)の報告した内容については、その方向性と内容が概ね正しいことが確認された。 第4、外国人研究者との研究交流により研究の進展を図ることについて。18世紀ロシア史の専門家科学アカデミー国民経済・国家勤務研究所教授ペトロヒンツェフ教授と話し合い様々な助言をもらった。またモスクワの古法文書館館員であるエルモラーエフ氏からもバシコルトスタンの民族英雄とロシア史全般について多くの指摘や示唆を受けた。 しかし、予定していたロシア人研究者を日本に招待して国際シンポジウムやセミナーを開催することはできず、そのため本研究者以外の人たちとの研究交流を図ることができなかった。とくに大学院生を中心とした若い研究者との交流が進まなかった。以上の点から、2018年度の研究課題遂行予定と比較して、概ね研究は順調に進捗していたものの、改善すべき問題点は残されていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、当該年度の目標は最終年度として、本研究を総括する研究論文の作成である。このため、当該年度でなされる海外出張および国内出張は、すべてをその目的をもてなされる。 第2に、昨年度なされなかったロシアの研究者との国際シンポジウム・セミナーの開催である。研究の進展を図るために、7月初旬に、18世紀ロシア史の世界的権威であるペトロヒンツェフ教授を明治大学に招聘して国際シンポジウムおよびセミナーを開催する。その際、本研究者のみならず、他の日本の研究者や大学院生の参加も予定している。すでにプログラムは微調整の段階に入っている。 第3に、本研究内容の進展と検証のための海外出張である。これによって、バシコルトスタン史に詳しい研究者との交流を行なう予定である。様々な事情から日本への招聘が難しいため、本研究者が6月にオレンブルクで開催される国際シンポジウムに参加して報告し(すでに調整の段階である)、また11月か12月にはウファーでの国際シンポジウムにも参加して報告する。参加予定の研究者との意見交換を通して研究を進展させ、かつ研究内容の検証をする予定である。同時に、報告内容の再検討をはかるという目的から、モスクワの国立図書館と歴史図書館、およびモスクワの古法文書館で資史料調査に努める。 第4に、最終年度の研究論文の作成である。2年目の後半から報告書作成に取りかかっているが、完成させるべく北海道大学に出張して、そこに付属しているスラブ・ユーラシア研究センターが所蔵している史料や文献について調査を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品費として計上していたロシア・バシキール史関係書籍について、注文していたにもかかわらず、届くのに時間がかかており、そのため計上できなかった。これについては、早々に手に入れる予定である。
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Research Products
(3 results)