2019 Fiscal Year Research-status Report
近世ロシア帝国に生きた民族の軌跡と記憶についての研究
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17K03192
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
豊川 浩一 明治大学, 文学部, 専任教授 (30172208)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 民族の記憶と意識 / サラヴァト・ユラーエフ / プガチョーフ叛乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成ため、以下の4点にわたる計画を立てた。 第1に、実施計画の国際学会での報告と学会誌への論文投稿である。国際学会で、「プガチョーフ叛乱に対する日本人歴史家たちの見解ープガチョーフ叛乱における古儀式派」というテーマ(於「国際学術プーシキン報告会」:、6月6日)で報告することができた。また、論文の投稿については、①「記憶すること、歴史を叙述すること-ウファーにあるふたつのモニュメントが語るもの」『駿台史学』169号、2020年3月、67~100頁(査読有)、および②「18世紀ロシアの民衆運動における古儀式派-プガチョーフ叛乱における古儀式派教徒の役割」『明治大学人文科学研究所紀要』第87冊、2020年3月、47~87頁(査読有)、以上2つの論文を刊行することができた。前者の論文は、本研究の総括的な論文である。そこでは、バシコルトスタンに存在するモニュメントを通して、どのように民族の記憶と意識が形成されたのかを、プガチョーフ叛乱から現在に至るまでの250年間にわたって考察した。後者の論文では、宗教的側面に特化して詳しく検討した。 第2に、海外の研究者と積極的な交流を図り、研究の質を高めることである。2019年6月、ロシア連邦共和国から、17・18世紀ロシア史の専門家ニコライ・ペトルヒンツェフ教授を招聘し、上記テーマに関わる共同研究(シンポジウム「ロシアの近代化過程を考える」6月22日)を行なった。 第3に、研究のレヴューを受けることである。2019年夏に開催された北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター主催の国際シンポジウムに参加し、国際的な視点からさまざまな指摘を受けた。 第4に、研究の精度を高め、かつその内容を検証するための海外での調査である。年度末の3月に行く予定であったが、2020年初頭から世界的に大流行した新型コロナウィルス蔓延の影響で取り止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗状況としては上のような区分である。 上記「研究実績の概要」で記したように、4つの項目のうち3つまでは順調に遂行することができた。とくに、第1で述べたように、2つの論文を刊行できた。しかし、第4で記したように、研究の精度を高め、かつその内容を検証するための海外での調査は行うことができなかった。年度末の3月に行く予定であったが、2020年初頭から世界的に大流行した新型コロナウィルス蔓延の影響で取り止めざるを得なかったのである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」で記したように、4点にわたる具体的な計画のうち、予期しない状況のため、海外での調査が残った。それゆえ、この点に限って、研究を遂行する予定である。ただし、外国での調査のため、新型コロナウィルス蔓延の状況を十分に考慮しなければならず、行く時期と場所の変更があるかもしれない。あるいは、海外での調査ができない場合、それに代わる研究推進方法として、海外の研究者に調査依頼することを考えている。
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Causes of Carryover |
すでに上で述べたように、2020年初頭から世界的に蔓延し始めたコロナウィルス感染拡大のため、海外渡航ができなくなった。当初、計画していた外国での調査研究を取りやめざるを得なくなったためである。コロナウィルス感染が小康状況になれば、海外での調査研究を行う。しかし、それが不可能な場合、海外の研究者に調査を依頼する。
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Research Products
(4 results)