2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03193
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青谷 秀紀 明治大学, 文学部, 専任准教授 (80403210)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 広太郎 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (60399061)
図師 宣忠 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60515352)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 中世後期 / 贖罪 / 規律 / 権力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度も、17年度に引き続き図師が13世紀、轟木が14世紀、青谷が15世紀を中心に、フランス王国の各地域及びその周辺における信仰の実践と権力の関係について調査と報告を行った。青谷は、5月の歴史学研究会大会シンポジウム「主権国家再考」において、もっぱら世俗的な観点から論じられることが多い「ブルゴーニュ複合君主政」の実態を、司教・都市間紛争の問題とあわせて検証することで、ブルゴーニュ=ハプスブルク期ネーデルラントにおける信仰と権力の関係の特質を明らかにしようと試みた。その成果は、『歴史学研究』に論考としてまとめられた。8月に開催された研究会では、図師が異端審問記録から南仏の地域社会における信仰と信徒の規律化の実態を浮かび上がらせるためのアプローチについて方法論的な観点から報告を行った。また、この研究会では轟木も、フーコー的権力論に示唆を受けつつ中世における統治の技法を読み解くM・Senellartの議論を批判的に検証し、これを具体的に中世後期のフランス王権により打ち出される正義と平和の概念・実践の分析に応用する可能性について論じた。轟木は、この研究会での成果も盛り込みつつ、11月の京都大学西洋史読書会大会で「国王保護 sauvegarde royale から見る後期カペー王権の正義・平和」と題する報告を行った。その際、青谷が司会を担当しており、図師を加えた三人で学会の前後に研究会の今後について討議を行った。さらに轟木は、2019年3月28日の日仏歴史学会第8回研究大会で「大きな平和と小さな平和―カペー朝後半期の国王の正義―」と題し、西洋史読書会大会で論じた国王正義の問題をより詳細に論じた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要でも記したように、2018年度は従来の研究会に加えて、17年度の研究会の成果をもとに各メンバーが複数回の学会報告を行った。また、前年度に引き続き、各自が国内外での史料収集・調査に従事した。これらを通じて、研究成果の取り纏めを行う3年目に向けて、ある程度の基盤を作ることができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本研究プロジェクトの最終年度であり、メンバー各自で、あるいは全員での国外での研究成果の発表を行い、プロジェクトの総括を行うと同時に、次の展開に向けての目処を立てたいと考えている。青谷がルーヴェン・カトリック大学に、図師がケンブリッジ大学に長期滞在し研究活動に従事するため、両者が現地の図書館・文書館での調査、学会・研究集会での報告を行うと同時に、轟木のフランス、ベルギー、あるいはイギリス滞在時にメンバー全員が集う形での研究会を開催したい。その際に、現地の研究者の協力を仰ぐことも視野に入れている。
|
Causes of Carryover |
本年度は、事前の計画よりも海外調査等の出張回数が少なかったため、次年度使用額が生じた。来年度の出張費に充てたいと考えている。
|