2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03193
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青谷 秀紀 明治大学, 文学部, 専任准教授 (80403210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 広太郎 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (60399061)
図師 宣忠 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60515352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 信仰 / 権力 / 贖罪 / 異端 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究代表者の青谷がベルギーに、分担者の図師がイギリスに長期滞在し研究を行った。同じく分担者の轟木は、もっぱら国内で史料の収集や研究発表に取り組んだ。 青谷は、ブルッヘやメヘレンを中心に文書館で未刊行史料の調査を行い、トゥルネ司教やカンブレ司教、リエージュ司教らとネーデルラント諸都市の間で展開された政治的コミュニケーションに関する情報を収集することに努めた。また、現地滞在中の所属先であるルーヴェン・カトリック大学で実施された各種セミナーや講演会に出席し、自身もまたコミュニケーション・メディアとしての都市の信仰について、ネーデルラント都市の事例を題材に講演を行った。ケンブリッジ大学を拠点とした図師は、ジョン・アーノルド教授のセミナーに出席し、また個別に意見交換をするなどしつつ、中世後期の南フランスにおける異端と権力をめぐる問題についての考察を深めた。その成果の一端は、アルビジョワ十字軍を取り上げた現地学会での報告に生かされている。国内を中心に活動を行った轟木は、14世紀頃のフランス王権と信仰の関係をめぐる諸研究に取り組んだ。とりわけ、統治におけるコミュニケーションの問題については、日韓西洋中世史シンポジウムにおいて口頭報告及び論考の形で研究成果の発表が行われている。このように、プロジェクト参加者はいずれも国際的な場において研究成果を発信することができた。また、海外に長期滞在した者に関しては、現地における知見の積み重ねが、次年度以降、多くの成果に結実するであろうことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各自の研究作業そのものについては、概ね順調に進めることができたと考えている。しかしながら、本年度はプロジェクト参加者3名がそれぞれ別の国に滞在していたため、研究会等で円滑にコミュニケーションをとり、研究成果を有機的に関連づける作業を行うことができなかった。オンラインでの会合を試みたことはあるものの、環境的な問題もあって対面式の研究会ほどの成果を生み出すことができなかったのは残念に思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、各自の研究はある程度着実に進展している。それらの成果を生かし、延長されたプロジェクト遂行期間においては、総括のためにの研究会もしくは研究集会を開きたいと考えている。ただし、感染症の流行如何によっては、環境面の整備も含め、入念な準備のうえオンラインでそれらに相当するものを実施する可能性も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
プロジェクト参加者の一人が諸般の事情により予定していた海外渡航を実現できなかったため。また、新型コロナウィルスの影響により、年度末会計作業が円滑に実施されえず、次年度に繰り越された分もある。これらは、出張費、書籍代などに充てられる予定である。
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