2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03193
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青谷 秀紀 明治大学, 文学部, 准教授 (80403210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 広太郎 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (60399061)
図師 宣忠 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60515352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シスマ / 聖務停止 / 贖宥 / 異端審問 / 迫害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度にはこれまでの研究の総括を行う予定であったが、感染症の流行により、すべての面において大幅な計画の見直しを迫られた。そうしたなか、プロジェクト全体での活動は限定的であったものの、数回にわたってオンラインで研究会を実施し、各メンバーがそれぞれの研究内容を報告した。また、年度の下半期にはオンラインで学会活動も再開されたため、代表者・分担者の全体もしくは一部がこれらに参加し、ときに報告を行うことで、計画の一部を消化することはできた。代表者の青谷は、オンライン研究会で14世紀末のフランドル地方におけるシスマを取り上げ、統治権力と市民の信仰の密接な関係を、1390年の聖年や長期にわたる都市の聖務停止、預言と終末論的思潮を切り口として明らかにしようとした。その成果は、2021年3月に論文として刊行されている。また、同月の日仏歴史学会では、1515年のネーデルラントにおける「堤防の贖宥」をテーマに、やはり統治権力と信仰の関係を、当時の自然環境、財政、国際政治に至る背景を検証しながら浮き彫りにするよう試みた。分担者の轟木と図師は、コンパクトながら異端審問や異端迫害について、最新の研究を踏まえつつ独自の切り口から見取り図を提供する小論を発表した。これらにも、研究会での議論の成果が反映されている。その他、三名ともに本プロジェクトのテーマにも関係する西洋中世史上の重要な論点を整理した短文を発表しており、研究の最前線と教育の現場を繋ぐ貢献をなしえたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のように、感染症の流行により計画に大きな狂いが生じたためである。海外・国内ともに出張はほぼ不可能となり、史料収集は、国内外の図書館からの取り寄せ、あるいはウェブ上での入手に限定された。また、代表者・分担者ともに、勤務先での授業・学務のオンライン化への対応に手間取り、研究時間が減少してしまったことも、進捗に遅れが生じた大きな理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
少なくとも、これを執筆している現時点では、依然として感染症の流行は収束しておらず、本年度の研究の先行きにも不透明な部分がある。しかし、本年度こそは何らかの形で最終年度の総括を行いたいと考えている。すでに本来のプロジェクト終了年度である19年度から二度の延長を経ているため、また、感染症の新たな拡大による混乱の可能性も考えられるため、年度末ぎりぎりではなく、ある程度余裕をもって年度途中で、これまでの研究成果を総括する報告書の作成に取り組む予定である。それに向けて、何度かの研究会をオンラインで行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により、予定されていた出張がすべて不可能となった。そのために、予算として計上していた旅費等を消化することができなくなったため。
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