2019 Fiscal Year Annual Research Report
Total War and the Emergence of the Social State in twentieth century Germany - Social Work of Women and Nationalization of Welfare
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17K03195
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 陽子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (10533151)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 世界大戦 / ドイツ史 / 社会国家 / 社会政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第一次世界大戦期から戦後における戦没兵士遺族への支援を、主として女性就労の観点から、論文集『第一次世界大戦の諸相』に寄稿した論文に取りまとめた。また、翻訳はナチのヨーロッパ支配とその支配からの解放、そして戦争終結による国境や政治体制の変動と、それに連動した人の移動を分析したものである。本研究課題の戦没兵士遺族支援は、こうした戦後のドイツへの人の流れによって、戦争犠牲者支援の内実が多様化したなかで、徐々に中核から周縁へと追いやられていった部門であった。翻訳作業を通してこの点が把握できたことにより、本研究課題の考察は、同時代のドイツを含めたヨーロッパ全体の人口流動を背景として、より深く議論を進めることができた。 本研究課題は、女性の社会活動(ソーシャルワーク)が福祉国家形成に果たした役割を検証するものである。女性たちの社会活動は、ドイツはもとよりヨーロッパ全体においても、困窮する人びとに対する援助を中心とする。主として戦争犠牲者援護のなかでも戦没兵士遺族への支援を中心に見てきたが、第二次世界大戦期から戦後にかけては、より多様な戦争の犠牲者がヨーロッパ規模で生じ、その人びとが数百万人単位で移動していた。こうした移動する困窮者への援護は、19世紀以来の支援方法では困難になることもあった。 以上の点を鑑みて、女性の社会活動そのものが国家レベルでの支援とのいっそうの協働が必要となったこと、むしろドイツに限らず国家的な枠組みでの支援政策を充実させる必要性が生じたことから、第二次世界大戦後のドイツおよびヨーロッパの国々は、必然的に国家が困窮者支援を主導する福祉国家にならざるを得なかった。女性の社会活動は、国家による福祉政策主導に先立つ援助システムであり、また国家の支援を補完する重要な役割を担うものであったことを、本研究を通して明らかにできたと考える。
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