2019 Fiscal Year Research-status Report
Russian tea trade and global market: Analysis of accounting books
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17K03198
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森永 貴子 立命館大学, 文学部, 教授 (00466434)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 茶 / 商人 / 露清貿易 / モスクワ / ロンドン / 会計文書 / 自由貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度中の主な活動として、まず9/14-25の日程で行ったモスクワでの文書館調査を挙げる。調査概要は以下の通りである。①調査実績があるロシア国立歴史文書館手稿課(OP GIM)で、ボトキン文書の未調査史料の確認と複写依頼、②ロシア連邦国立文書館(GARKh)で、ロシア帝政末期の茶貿易関連文書調査、③ロシア国立軍事歴史文書館(RGVIA)で、帝政ロシア末期の中国・日本関連資料の調査を行った。このうち、①は文書館で職員に便宜を図ってもらい、必要文書の閲覧、複写依頼をスムーズに行えた。また②、③でも新たな史料の発見が複数あった。しかし帰国後の複写手続きに関し、近年ロシアの国立文書館では外国人短期滞在者から受けた複写依頼の場合、契約書・振込書を当人宛に送付し、入金する仕組みに変更されている。契約書・振込書はロシア言語のみであり、外国人は所属機関の経理を通してのみ振り込み可能となっているため、数年前に比べ複写手続きが複雑化し、多大な時間を要するようになった。このため今後短期調査による資料収集の時間と費用がさらにかかると予測される。今年度ロシア調査の実現にもかかわらず、調査回数が夏期1回のみだったこと、②の文書館から契約書が届かなかったなどの問題が発生しており、当初の目的を達成できなかった部分もある。業績については、文書館調査が当初の予測ほどスムーズに進まず、研究時間も十分取れなかったことから、成果物は本テーマに関わる事典・参考書の項目執筆が3件である。いずれも分担執筆であるが、自身の研究分野に関わる理解と認識を広め、ベースとなる考えを整理するために有益な書籍である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は夏期にモスクワの文書館調査に出張することができ、その点で若干の進展があった。ロシア国立歴史文書館(OP GIM)のボトキン文書は4年前からその所在を知る貴重の文書であり、未入手の史料を閲覧、複写できたことは良かった。しかし現在のロシアの複写手続きが従来よりも非常に煩雑で費用が高額 になっているなどの問題があり、1度の短期調査では当初予定していたよりも進捗が芳しくなかった。特にロシア連邦国立文書館(GARKh)で発見した統計史料の複写物を入手できなかったことが非常に残念である。このため冬季に再度モスクワへの短期調査旅行を行うことも計画したが、2019年暮れから2020年の年明けにかけ、コロナウイルスの流行が拡大し、ロシアでは調査旅行のリスクが大きいと考え、断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に再度ロシアへ文書館調査のための出張旅行を計画しているが、現状では2020年内に遂行は非常に困難であると予測している。そのため、まずこれまでの収集資料を基にして、出版予定の書籍、他大学の研究プロジェクトによる論文執筆に着手して研究成果の発信を行う予定である。またこの他に、英語論文を成果として発信することも考えているため、その準備費用を科研費で賄うことも検討している。 ロシアへの出張については2021年1月~3月の間に実現可能であれば、未入手史料に再度アクセスするためにぜひ遂行したい。出張のための準備も進める計画だが、これまで費用面で入手困難だった英語・論文書籍が複数あり、出張ができない場合はそれらの購入も検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は9/14-25にモスクワでの文書館調査を行うことができ、新たな史料の発掘などを行うことができた。しかし文書館における複写物の購入に関するロシアの法的手続きが複雑化し、全ての史料複写物を無事に入手できたわけではない。そのため2020年1月~3月に再度、モスクワの文書館調査のため出張することを予定したが、2019年暮れよりコロナウイルスの問題が発生し、出張先へ調査に行くことのリスクが非常に大きいと考え、これを断念せざるをえなかった。未入手史料の入手手段が年度内に消滅したため、本科研の次年度への延長はやむを得ないと判断した。 次年度はコロナ問題が終息する時期を見て出張を予定しているが、現在これに関しては保留状態である。またこれまで全ての史料を入手できたわけではないが、収集した史料を基に、論文、書籍を2020年度内に執筆する計画である。このうち1件は英語論文での発信を予定しているので、出張できない場合はそのための準備費用に活用することも検討している。また最後の選択肢として、費用関係で入手困難であった英語・ロシア語文献の購入も検討している。
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Research Products
(3 results)
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[Book] ロシア文化事典2019
Author(s)
沼野充義・望月哲男・池田嘉郎編集代表(森永貴子)
Total Pages
890
Publisher
丸善出版社
ISBN
978-4621304136