2017 Fiscal Year Research-status Report
Empirical study of common people's beliefs in Tohoku district
Project/Area Number |
17K03205
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒木 志伸 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 准教授 (10326754)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 石造文化財 / 立石寺 / 出羽三山 / 庶民信仰 / 供養碑 / 墓石 |
Outline of Annual Research Achievements |
立石寺の石造文化財について、10月に参道での悉皆調査を実施した。本年度は、せみ塚・弥陀洞地区を中心におこない、新規・再調査分も含めて98基のデータを取得した。特筆すべき点では、せみ塚向かいの摩崖供養碑に新たに「上山」と刻まれていることを確認したことがあげられる。従来、現在の山形市内より南に位置する地名は磨崖供養碑上には発見されておらず、立石寺の信仰圏の広がりに関する新たな資料を得ることができた。また、これまで解読ができていなかった石造文化財の銘文57基について再解読をおこない、より精緻なデータを得ることができた。 立石寺と比較する霊場調査については、これまで実施してきた出羽三山、松島・瑞巌寺等の石造文化財の踏査を引き続きおこなった。特に、出羽三山に関しては、西川町本道寺地区の石造文化財の調査を通じて、立石寺との信仰圏の広がり・時期的な違いが明確に浮かび上がってきている。また、これまでは東北地方の霊地・霊場での調査を主体としてきたが、本研究の総括時期が近付いたことを念頭におき、九州や東海地域などのフィールドについて新たに踏査を開始した。広く「参詣」の意味から、立石寺のそれと比較・考察できる事例を増やしていきたい。 成果報告に関しては2018年2月9日に東北大学でおこなわれた「列島の霊場-聖なる地の誕生の物語-」において「考古学からみた霊場・山寺立石寺の成立と変遷」と題して、本年度の調査成果を含めて発表した。また、西川町本道寺での講習会など、地域での交流・普及も兼ねた学習会をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立石寺の石造文化財については、本研究での調査完了の見通しが立ちつつある。ただし、再解読の有効性を確認しており、どの程度まで追加調査をおこなうか、判断ができていない部分もある。比較検討対象の霊場調査については、順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度に、日本山岳修験学会・大会をを立石寺で開催する方向で調整が進んでいる。そこでの成果公開を目指し、2018年度中に石造文化財の調査を完了したい。また、最終年次の山寺芭蕉記念館での成果公開のための特別展示に関しても、担当者と打ち合わせを開始していきたい。
|
Causes of Carryover |
人件費・謝金について、当初は立石寺での悉皆調査において学生アルバイトを雇用する予定であった。しかし、教育活動と絡めた携帯で実施した結果、謝金が大幅に少なくなった。旅費に関しては、遠隔地の霊地霊場への出張が予定以上に実施したことにより、使用額がアップした。物品費についても、データ編集用のPCを購入するなどしたため、申請金額から変更が生じている。
|