2018 Fiscal Year Research-status Report
Empirical study of common people's beliefs in Tohoku district
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17K03205
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒木 志伸 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 准教授 (10326754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 霊場 / 石造文化財 / 立石寺 / 山岳信仰 / 山寺 / 巡礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の立石寺の石造文化財調査については、山門付近の石塔が集中する区域でおこなった。結果として、約300基の石塔に関するデータを取得している。昨年度の調査に引き続き、今回から導入したLED懐中電灯とデジタルデータの画像処理による解読調査により、以前よりも一層精緻なデータを獲得できるようになった。また、石塔に関して1基ながら墨書が確認できた資料があった。従来、磨崖供養碑は墨書の有無について確認してこなかったが、次年度の課題として浮上した。 また、立石寺の霊場としての特質を明らかにするため、比較対象地の現地踏査をおこなった。主な調査霊場は、筑波山、奈良の大峰山・金峯山寺、比叡山延暦寺、鳥海山である。それぞれ、行場や宿の伝承地などの確認、周辺の関連施設と石造文化財の分布の在り方について検討した。また、広く「参詣」の視野から、スペインの巡礼地での現地踏査も実施した。なお、現地踏査に関する文献調査も並行しておこなった。 成果の公表については、2018年8月9、10日に東北大学でおこなわれた国際シンポジウム「聖地と霊場―神・仏・死者、その共生の構図」において「山の聖地とその展開--立石寺と出羽三山」として研究発表をおこなった。また、直後の11、12日に実施されたシンポジウムの巡検で、国内外の研究者と共に立石寺、羽黒山現地で意見交換をおこなった。その結果、海外からの視点も含めて、立石寺の霊場の空間構成とその意味に関して重要な指摘を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想していたより新しい調査方法による石造文化財の銘文解読が順調であるため、立石寺において再調査の必要が生じている資料が多くなってしまっている。ただし、研究の全体的な計画には遅延は認められない。 また、国際シンポジウムへの参加等、研究を推進する上で予想以上に重要な知見が得られる機会が多くあった一方で、論文等の形式での公表が若干おくれがちである。ただし、これらについても、既に最終年度に論文掲載が決定している研究雑誌が数本あるため、懸念すべきものではない。
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Strategy for Future Research Activity |
調査回数・日数の増加検討し、立石寺の全ての石造文化財データ取得を目指す。また、公開に向けて、データ入力作業を集中して進める。 また、本研究の成果の公開の好機会として、本年度の夏に日本山岳修験学会・山寺大会を開催する。広く成果を発表するとともに、既に掲載が決定している研究雑誌への投稿をおこなう。
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Causes of Carryover |
当初、研究整理のために予定していた謝金によるデータ入力が、依頼者の都合で延期となったため、次年度使用額が生じた。これに関しては、最終年次に計上していた人件費・謝金の経費に加えていきたい。
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