2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Basic Research on the Torbs of Foreigner in Japan in the 19th Century
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17K03225
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
田中 裕介 別府大学, 文学部, 教授 (30633987)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 考古学 / 幕末の外国人墓地 / 長崎の唐人墓 / 横須賀三浦按針墓地 / マカオの外国人墓地 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる2019年度には、現地調査として5月と夏休み最後の9月に長崎市大浦国際墓地の調査を継続して墓碑の実測や写真撮影を行って資料の収集に努めると同時に、長崎市崇福寺の唐人墓地の補足調査を実施した。さらに幕末期の日本国内の外国人墓地の評価するために比較することのできるもっとも近い墓地として19世紀の前半の墓碑が数多く残る中華人民共和国マカオ特別行政区の、プロテスタント墓地の墓碑を調査した。同時に昨年度以来引き続いて、調査資料をデータに集約する作業を室内作業として実施し、研究成果報告書の作成をおこなった。 この3年間の研究成果とまとめると、①鎖国形成期の外国人の墓碑としては、平戸のイギリス・オランダ人墓に係わって、ウィリアム・アダムス夫妻の墓碑として知られる神奈川県横須賀市安針塚の宝篋印塔二基の調査を行い、按針墓碑も妻の墓碑も石塔の形態から後世に立てられたものではなく、死後ほどなく立てられたことが判明し、アダムスの平戸での葬儀がイギリス国教会の儀礼でキリスト教式に行われたのに対し、彼の知行地逸見での墓碑建立に際しては戒名がつけられ宝篋印塔を建てるという仏教式で、彼の後継者によっておこなわれたことを明らかにした。外国人が日本に家を作り子孫に遺すには、仏教式にまつられる必要があったと考えられた。②鎖国時代の中国人の墓碑の形式として長崎市崇福寺後山の唐人墓地群の調査を行い、17世紀後半から19世紀初頭までの墓碑の型式変化を、長崎市悟真寺墓地の資料と合わせてほぼ明らかにすることができた。③幕末期の外国人墓地については函館、横浜、下田、神戸、長崎を対象に特に、長崎の大浦国際墓地と函館の国際墓地を中心に調査をおこない、その成果と比較するためマカオのプロテスタント墓地も調査した。その結果、居留地の墓地と居留地外の墓地とくにロシア人墓では墓碑の形式が異なっていることが判明した。
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