2019 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期の朝鮮・満州における民間地図と画像資料に関する歴史地理学的研究
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17K03238
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中西 僚太郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70202215)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 満州 / 大連 / 市街地図 / 民間地図 / 鳥瞰図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本統治下の朝鮮・満州を対象として、民間で作成された都市や観光地、広域空間の平面図、鳥瞰図、絵葉書などに関する情報を収集し、データベース を作成した上で、それらの資料を読み解き、商工業の実態やツーリズムのあり方、表現された地域イメージを明らかにすることを目的としている。本年度は3年目であり、引き続き資料の調査・収集と関連する情報の収集を行うとともに、研究対象を大連に絞り込んで、研究成果の公表も行った。資料の調査・収集においては、古書店の古書目録を活用し、平面図や鳥瞰図に関しては、大連の市街地図を中心に、予算的に入手可能なものについては可能な限り現物を購入した。関連する情報の収集としては、9月にウラジオストクの博物館で、帝政ロシアの極東方面の地図作成に関わる情報や、ウラジオストクとその周辺の地図情報の収集を行った。また、11月にはソウルで開催された韓国文化地理学会大会に参加し、近代日本の朝鮮認識に関する情報の収集、ならびに近代の市街地図や鳥瞰図と対比しながら、仁川の形成過程に関して現地踏査を行った。朝鮮半島朝鮮・満州の民間地図に関しては、資料の調査・収集はかなり進み、データベースの作成に着手した。また、2019年8月には、栃木県歴史文化研究会第29回大会にて、研究内容と関連して、「鳥瞰図絵師・松井天山の画業と画風」と題する研究発表を行った。そして、満州の大連に関して、市街図(平面図)の特徴について検討した「日本植民地期の大連市街地図について」と題する論文を「歴史人類 第48号」に発表した。この論文では、日露戦争期から昭和戦前期までに日本が作成した大連市街地図の全体像を提示し、主要な地図について記載内容の特色を解説した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
朝鮮と満州の民間地図に関しては、市街図を中心にデータや情報の収集を、ほぼ済ますことができた。また、事例地域の研究として、大連の市街地図について、その種類と記載内容の特色について検討した論文を学内雑誌に公表することができた。3年目としては、ある程度研究は進んだが、地図のデータベース化は、作成に取り掛かっているが、まだ十分にはできていない。事例地域の都市の商工業や観光に関わる研究報告を学会にて発表するまでには至らなかった。全体として、進捗状況はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平面図、鳥瞰図のデータベースの作成は、まだ十分にできていないので、その充実を図り、完成を目指す。さらに、朝鮮・満州における都市の商工業や観光、広域空間の観光に関する研究を進め、研究成果を学会にて積極的に発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により、2020年3月に予定していた資料調査を中止したため、その分だけ旅費が残った。2020年度はこの金額を旅費に当てて、請求してある助成金と合わせて、資料調査や学会等での成果発表を行う予定である。
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Research Products
(2 results)