2020 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期の朝鮮・満州における民間地図と画像資料に関する歴史地理学的研究
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17K03238
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中西 僚太郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70202215)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大連 / 哈爾濱 / 奉天 / 新京 / 市街地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本統治下の朝鮮・満州を対象として、民間で作成された都市や観光地、広域空間の平面図、鳥瞰図、絵葉書などに関する情報を収集し、データベースを作成した上で、それらの資料を読み解き、商工業の実態やツーリズムのあり方、表現された地域イメージを明らかにすることを目的としている。本年度は4年目であるが、昨年度までに収集した情報の補充を、インターネットを駆使して行い、課題となっていた朝鮮・満州の民間地図に関するデータベースの作成を行った。その結果、新型コロナウイルス流行により、各種図書館・史料館での資料調査が行えなかったという制約はあったものの、データベースの作成をほぼ終えることができた。作成した地図データベースは、朝鮮に関しては、朝鮮半島広域、京城、仁川、釜山、平壌、金剛山の平面図と鳥瞰図、満州に関しては満州広域、大連、哈爾濱、奉天、新京、営口の平面図である。このうち、満州の大連、哈爾濱、奉天、新京の市街地図に関しては、日本地理学会の研究グループ集会にて研究報告を行った。その内容は、主に各都市の市街地図作成の年次的傾向と作成者についてである。市街地図作成は、大連は1900年代以降、奉天は1920年代以降、新京・哈爾濱は1930年代以降という順に、日本の満州への支配力拡大とともに盛んとなる傾向があること、作成者は、大連では1910年代まで内地(東京、大阪、下関など)の人物・書店が中心であるが、1920年代以降は、大連の人物・書店(大阪屋號書店など)が中心となること、奉天・新京・哈爾濱に関しては地元の人物・書店が中心であったことなどである。各都市の商工業の実態については、大連を事例として、市街地図の広告を活用した検討を行ったが、研究成果を報告するまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
朝鮮と満州の民間地図について、広域の地図と市街地図を中心に、エクセル形式でデータベースの作成をほぼ終えることができた。朝鮮の民間地図に関しては、朝鮮半島全体を描いた鳥瞰図について、2年目に吉田初三郎の作品を取り上げた論文を公表し、地図の特徴とともに記載内容と当時のツーリズムとの関係について論じた。満州の民間地図に関しては、都市の平面図について、3年目に大連を取り上げてその内容を検討し、作成された図の全体像と、描写内容・作成者の特色について論文を公表し、4年目には哈爾濱、奉天、新京を加えて、作成の年次的傾向や作成者の特色について研究を進めた。全体として、朝鮮と満州の民間地図に関する基礎的研究は相当に進んだが、それらを活用して、事例地域の都市の商工業や観光に関わる研究報告を学会にて発表したり、論文を公表するまでには至らなかった。理由としては、新型コロナウイルス流行下で、十分な研究環境が確保できない時期があったことや、オンライン授業への対応に多大の労力を要したことなどが上げられる。全体として進捗状況は遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
民間地図や絵葉書などの画像資料を活用した商工業の実態やツーリズム、地域イメージに関する研究は遅れているので、それを進めて、最終的な研究のまとめを行う。具体的には、満州の大連と哈爾濱を事例に、市街地図のデータベース情報を基礎として、絵葉書や案内書などの画像情報を加えて、商工業の実態やツーリズム、地域イメージに関する分析を行う。研究計画では、各都市で実地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス流行により困難であるので、かつて現地調査した経験を生かして研究を進める。各都市の研究成果については、学会にて口頭発表を行うとともに、大連に関しては論文としてまとめ、学術雑誌に投稿する。そして、年度末には研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、新型コロナウイルス流行により、国内での資料調査は困難で、中国・韓国での現地調査は不可能であった。そのため、予定していた旅費が残った。また、新型コロナウイルス流行下で、十分な研究環境が確保できない時期があったり、オンライン授業への対応に多大の労力を要したことなどで、予定よりも研究の進展が遅れ、関連資料や消耗品の購入が進まなかった。令和3年度の夏季以降は、国内での調査旅行は可能であると予想されるので、旅費の一部はその調査に当てる。そして、今年度進まなかった関連資料や消耗品の購入費に充てるほか、資料整理や製図作業の補助をしてもらうための人件費として使用する。
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Research Products
(1 results)