2017 Fiscal Year Research-status Report
産業集積におけるネットワーク共進化と関連多様性に関する研究
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17K03239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
與倉 豊 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (70586552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関連多様性 / 進化経済地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
知識経済化が進む現在において,いかにイノベーションを創出するかが産業集積の高度化にとって重要となる.本研究では,技術的関連度の高い多様な産業集積の強みを検討するために,近年,進化経済地理学の分野で注目されている「関連多様性」概念を用いて説明を試みている. 当該年度は,関連多様性と地域経済成長に関する既存研究のレビューを行うとともに,産業集積のポテンシャルの定量的な把握のためのデータセットの作成に注力した.既存研究としては,産業技術の類似性を基に,社会ネットワーク分析を用いて,地域が有する競争力を可視化する手法に着目し,日本においても同様の観点から分析が可能か検討した.なお,定量的な分析を行うためのデータセットとしては,2014-2016年度に研究代表者として従事した「テンポラリー空間における多様な主体の共立地に関する研究」で用いた工業統計表工業地区編を活用し,時系列の変化を追うために適宜,修正を行った.工業統計表工業地区編を利用する理由としては,都道府県より小さく,市区町村スケールより大きな空間スケールで,産業中分類より下位の産業分類レベルのデータ(産業細分類)を入手することが可能であることによる. 本研究では関連多様性を定量的に算出し,全国的な動向を把握した後に,複数中核企業型の産業集積として浜松地域を取り上げ,過去から現代までの技術軌道を可視化し,地域経済の成長の源泉となりうるか検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析のためのデータセットの作成の際に,標準産業分類の改訂に対応するためのデータ修正にやや時間をとられ,また2004年以前に関しては秘匿のデータが多かったため,当初予定した成果を得ることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
定量的な分析の課題に関しては,聞き取り調査などを活用した質的な把握により補完することで対応する.
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Causes of Carryover |
本年度中に聞き取り調査を行わなかったこと,また研究代表者の所属組織の変更に伴い,当初予定していたデータ入力のアルバイトを雇わず,研究代表者が自身で行ったことなどにより,旅費や人件費において未使用額が多く生じた.未使用額については次年度以降の図書購入費もしくは旅費に充てることを計画している.
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