2018 Fiscal Year Research-status Report
産業集積におけるネットワーク共進化と関連多様性に関する研究
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17K03239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
與倉 豊 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (70586552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関連多様性 / 進化経済地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,知識経済化が進む現在において注目を集めている,地域を単位としたイノベーションの創出が,産業集積の高度化にとってどのように影響するのか検討することにある.本研究では,技術的関連度の高い多様な産業集積の強みを検討するために,近年,進化経済地理学の分野で注目されている「関連多様性」概念を重視している.関連多様性とは,技術分野として「近からず,遠からず」の適切な認知的距離を有していると,それら技術間の相互作用が極大化するという概念であり,地域イノベーションの重要な源泉として指摘されている.それら関連多様性の具体的な把握の手法としては,産業小分類や産業細分類のデータを活用して定量化することが多い.本年度は工業統計表工業地区編のデータを活用し,全国の関連多様性指標を広域市町村圏別に算出した.その際,関連多様性指標の測定方法に対する大きな課題として,既存研究の分析手法は,異なる国,地域でデータが入手可能で簡便な方法であるものの,産業間の技術的関連性や知識交換の容易さを意味するものではないとする既存研究の主張を重要視し,産業連関表を用いるなど実際の産業間の取引関係を考慮に入れた定量化の必要性があることを明らかにした.また,九州の地域イノベーションと産業集積との関連についても検討した.以上の成果は2018年10月の経済地理学会例会にて報告している.また九州の地域イノベーションの検討成果は,『季刊不動産研究』(日本不動産研究所)に投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,全国的な地域イノベーションに関するデータセットの作成に時間をとられ,想定通りの成果を得ることができなかったが,本年度はデータベース化が進み,社会ネットワーク分析やGISによる分析を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
定量的な分析が完了後,実態把握のために聞き取り調査を行う予定である.
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Causes of Carryover |
データベース作成のために学生を雇用する予定であったが,入力の際に専門性が高く,代表者自らが行った.そのため,当初予定した人件費を使用することはなかった.本年度使用できなかった余剰額については,調査旅費,人件費として翌年度に使用する予定である.
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