2021 Fiscal Year Research-status Report
経済危機後のアジア巨大都市における都市再生の動向に関する地理学的研究
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17K03253
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤塚 吉浩 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70274347)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジェントリフィケーション / 都市景観 / 歴史的町並み / 高層共同住宅 / 建築紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、東京都心周辺部の荒川区と台東区において現地調査を行い、主に次の三点の研究成果を得た。第一に、東京中心部におけるジェントリフィケーションの変化について、管理,専門・技術職就業者数の変化を指標として検討し、2000年代後半は中央区や港区で管理,専門・技術職就業者数は増加したが、2010年代前半は都心から離れた墨田区や荒川区、豊島区などで増加したことを明らかにした。下谷・根岸・東日暮里では専門・技術職が増加する一方,下谷・根岸では販売職が減少し,東日暮里では生産工程就業者が減少し,居住者階層の上方変動が確認された.第二に、台東区下谷・根岸における都市景観の変化を検討し、金杉通り沿いに多かった町家と路地に面した長屋の多くが失われ、高層共同住宅が増加したことにより、歴史的な町並みを守ることは容易ではなく、下町の風情をいかに保つかが重要と指摘した。第三に、荒川区東日暮里における高層共同住宅建設に伴う建築紛争について考察し、荒川ルール条例による地域関係者会議における協議によって、近隣への影響が緩和されたことを示した。今後ジェントリフィケーションが拡大すると、周辺地域に立地する産業の操業環境との調和をどのように実現できるか検討が必要となる。 ソウルについては、建築後50年以上経過した住宅が、鍾路区や、城北区、東大門区、龍山区など都心周辺部に多く、都心の中区も含めて、漢江の北に多くあることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症拡大防止のために、長い期間東京都に緊急事態宣言が出され県境を越えた移動を控える必要があったため、日本国内においても頻繁に現地調査に行くことができなかった。海外都市の調査は、全くできなかった。東京都心周辺部における都市再生について現地調査を行った研究成果は、『都市地理学』17号に「東京都心周辺部におけるジェントリフィケーションと都市景観の変化-下谷・根岸・東日暮里を事例-」として掲載された。 また、ソウルの住宅の状況に関しては、統計分析の結果を『図説 世界の地域問題 100』の「ソウル市北村におけるツーリズムジェントリフィケーション」に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、日本国内では現地調査の頻度を上げ、研究内容を深めてまとめる計画である。研究対象地域において感染症拡大の状況が収まれば、海外調査を実施する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染症拡大防止のために、東京都に長く緊急事態宣言が出され、県境を越えた移動を控えるようにとの要請があったため、頻繁に現地調査に行くことができなかった。2022年度は、東京における現地調査の頻度を上げて、研究内容を深める計画である。
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Research Products
(2 results)