2017 Fiscal Year Research-status Report
進化経済地理学による産業地域のレジリエンス分析:企業城下町の国際比較を通じて
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17K03254
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
外枦保 大介 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70581669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進化経済地理学 / レジリエンス / 企業城下町 |
Outline of Annual Research Achievements |
2010 年代において、欧米の進化経済地理学では、「レジリエンス」をめぐる活発な議論が展開されている。「レジリエンス」とは、自己組織性をもった生態系の安定性の議論をベースとして、グローバルな経済環境の変化に伴って生じる不確実性に直面をせざるを得ない状況の中で地域が衝撃から回復し立ち直る過程であるとされる。この「レジリエンス」を分析するためには、分析手法の精緻化が喫緊の課題となっている。本研究では、第1に、方法論的枠組構築のために、進化経済地理学の理論的成果とその課題を明らかにする。また、第2に、国内外の企業城下町におけるフィールドワークによって、産業地域のレジリエンスに関わる技術的・関係的要因を分析する。 平成29年度は、(1)「レジリエンス」概念の可能性と課題を検討する「理論研究」と、(2)「国内・国外地域におけるフィールドワーク調査」を実施した。 (1)に関しては、単著『進化する企業城下町-進化経済地理学からのアプローチ-』を刊行し、進化経済地理学の動向を中心に、これまでの理論的成果を公表するとともに、進化経済学会で招待講演を行った。 (2)に関しては、フィールドワーク調査を、ヨーロッパ(オーストリア、チェコ)および米国において実施した。国内の事例との比較に有益な事例を見出すことができ、これら企業城下町の歴史や最近の動向に関する情報・文献収集等を実施することができた。また、国内企業城下町の1つである宮崎県延岡市で近年取り組まれている「東九州メディカルバレー」についての論考を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、(1)「レジリエンス」概念の可能性と課題を検討する「理論研究」と、(2)「国内・国外地域におけるフィールドワーク調査」を実施した。 これらの成果は、データ・論点を取りまとめた上で、次年度以降も継続的に学会発表や論文執筆を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究成果の国内外での発表および海外でのフィールドワーク調査を精力的に行っていきたい。 研究の進展においては、国内外の研究者との情報収集が必要であるとともに、これまでの研究成果を発表するため、Global Conference On Economic Geographyをはじめとした国内外の学会に積極的に参加したいと考えている。 また、地理学以外の学問領域の研究者との交流を図り、研究成果につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、2回の海外出張で大半を使用したが、若干の残額が発生した。 平成30年度は、国内外の研究者との情報収集が必要であるとともに、これまでの研究成果を発表するため、国内外の学会に積極的に参加したいと考えている。そのための学会出張旅費も執行する。
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