2020 Fiscal Year Research-status Report
進化経済地理学による産業地域のレジリエンス分析:企業城下町の国際比較を通じて
Project/Area Number |
17K03254
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
外枦保 大介 大分大学, 経済学部, 准教授 (70581669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 進化経済地理学 / レジリエンス / 企業城下町 |
Outline of Annual Research Achievements |
2010 年代において、欧米の進化経済地理学では、「レジリエンス」をめぐる活発な議論が展開されている。「レジリエンス」とは、自己組織性をもった生態系の安定性の議論をベースとして、グローバルな経済環境の変化に伴って生じる不確実性に直面をせざるを得ない状況の中で地域が衝撃から回復し立ち直る過程であるとされる。この「レジリエンス」を分析するためには、分析手法の精緻化が喫緊の課題となっている。本研究では、第1に、方法論的枠組構築のために、進化経済地理学の理論的成果とその課題を明らかにする。また、第2に、国内外の企業城下町におけるフィールドワークによって、産業地域のレジリエンスに関わる技術的・関係的要因を分析する。 令和2年度は、以下のように研究を進展させた。 第1に、過去に実施したアメリカ合衆国のプルマン地区およびチェコのズリーン市での調査をもとに、研究成果を取りまとめて論文に執筆した。この論文では、パターナリズムを鍵概念として、企業家の意向と大企業による都市整備との関係を考察した。まず、19世紀から20世紀にかけての欧米におけるパターナリズムと企業城下町の趨勢を整理した。さらに、2つの地域の事例研究では、企業家の意向によって独特な都市整備が図られ、田園都市など当時の先駆的な都市計画との関係性を論じるとともに、空間的孤立がパターナリズムの発揮に影響していることを指摘した。 第2に、理論研究においても、進化経済地理学やレジリエンスに関する論文精読を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全般的に、論文の執筆が進み、概ね順調に進展した。 ただし、国外でのフィールド調査を実施予定していたものの、新型コロナウィルスの影響で実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、地域レジリエンスに関する研究成果を公表する予定である。 国外でのフィールド調査を計画しているものの、新型コロナウィルスの影響で実施可能性は不透明であり、注意を払いたい。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウィルスの影響で、国外でのフィールド調査が実施できなかったため、次年度に繰り越すことになった。国外でのフィールド調査を計画しているものの、新型コロナウィルスの影響で実施可能性は不透明であり、注意を払いたい。
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