2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K03271
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山口 睦 山口大学, 人文学部, 准教授 (70547702)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害支援 / 贈与 / 赤十字 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2019年度に行った戦後の青少年赤十字における国際支援についての研究成果をもとに学会発表、成果論文発表を行った。戦後アメリカの青少年赤十字から日本の児童に贈られた「ギフトボックス」について、日本赤十字社が保存している広報誌『青少年赤十字』(1949~1971)の調査、分析を行った。海外の青少年赤十字との通信のやりとり、アメリカ青少年赤十字から贈られたギフトボックス、スクールチェストなどの贈与、日本の青少年赤十字から海外への贈与などが事例として得られた。災害支援においては、災害ボランティアによる救援活動を体験した元被災者が、次なる被災地の人々に対して利他的な行動を展開する現象「被災地のリレー」が見られる。これと同様の現象が、青少年赤十字の活動においても見られた。また、第二次世界大戦後の戦災支援としてアメリカの青少年赤十字団が世界的にギフト・ボックス、スクールチェストを贈っていたことが明らかになった。発案、作製、送付においてアメリカ青少年赤十字が中心的役割を果たしており、その後、たとえばドイツや日本などの受け取った側の国が贈る側になる事例が確認できた。さらに、戦災支援がひと段落したのちは、各国における自然災害への支援が行われていたことが確認できた。水害、火事、台風被害などへ国境を越えて情報がもたらされ、水や食料、医療支援といった喫緊の支援よりも、少年赤十字として子供を対象とした支援が行われていたという特徴がある。 また、20世紀前半における少年赤十字の活動についても、広報資料『少年赤十字』の調査を行った。『少年赤十字』には、本社発行版『少年赤十字』と京都支部発行版『少年赤十字』の2種類がある。資料の所蔵は、国立国会図書館と東京の赤十字本社、金沢大学図書館などである。covid-19の影響があり資料の収集は途上である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid-19のために資料調査や現地調査ができなかったため遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
20世紀前半の少年赤十字の災害支援活動について、広報誌の分析を行う予定である。また、少年赤十字の国際支援において中心的役割を果たしたと考えられるアメリカの少年赤十字について資料収集、検討を行う。 青少年赤十字は、Junior Red Crossとよばれ、世界で約190の国で組織されている。日本では、約1万3000校に約303万人のメンバーがおり、各国のJRCメンバーとの交流が行われている。日米のJRCの交流の歴史について調査を行う。
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Causes of Carryover |
covid-19のため現地調査、資料調査ができず次年度使用額が生じた。20世紀前半の少年赤十字についての資料調査を行うために使用予定である。また、東日本大震災の被災地調査を行うために使用予定である。
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