2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Genesis of "Philippine English" and Its Transnational Development
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17K03272
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 伸隆 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10323221)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 韓国系英語学校 / フィリピン人教員 / 海外出稼ぎ / 地域社会 / ベトナム / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年は本科研調査の2年目に当たり、昨年度の語学学校校長・オーナー、さらに日本人マネージャーへのインタビュでの成果を踏まえ、語学学校の運営、地域社会と語学学校の関係、さらに語学学校に勤務するフィリピン人教員の経験の3点について調査を行った。さらに今回の調査の直接的なテーマではないが、ネパールの首都カトマンズでの現地語学学校の調査を行う機会にも恵まれたため、フィリピンにおける英語学校と日本における日本語学校の比較研究も同時に行った。まず2018年9月に、バギオ市では1週間にわたって、フィリピン英語教員5名に集中的なインタビューを行い、教員以前と以後の意識の変化を探った。多くの教員が程度の差こそあれ、海外出稼ぎや外資系企業での職務経験があり、英語教師という職業が経済的には必ず恵まれたものではないものの、地域社会においては生計手段としてだけではなく、外国人に英語を教授するという文化的優越性からも選択されていることが確認できた。同時にフィリピンの地域社会という視点から英語学校の係わりを考察すると、地域経済促進に大きく貢献していることから、ホスト側のフィリピン人からも好意的に受け止められていることが見えてくる。さらにグローバル化時代において、フィリピンの高等教育機関が海外からの留学生獲得に積極的であることから、英語語学学校の誕生、展開、拡大は、単に語学留学という文脈にはとどまらない影響力を持つことも見えてきた。すなわち語学留学という流れ以外に、韓国人や中東からは英語で授業を行う大学に留学する外国人が急増するという状況があり、こうした動きと英語学校の拡大は親和的関係にあると思われる。現在、バギオの学校は留学生拡大に向けて、ベトナムや台湾といった市場からの学生獲得を目指しており、最終年度に向けた具体的な課題を明確にできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地の関係者と良好な関係が築けたため、計画通りに調査が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年度の課題は、論文としての成果発表と現地調査の仕上げの2点である。前者だが、国際学会を含む研究会や学会等での成果発表は進展しているが、活字としての成果がまだない。現在その成果発表に向けた取り組みを行っているところである。一方、現地調査であるが、9月にバギオ市での英語学校に勤務するフィリピン人教員へのインタビューを継続し、同時にベトナムに市場を求めて拡大する韓国系英語学校の実態調査を行う。現在ベトナムでの調査に向けて、現在関係者への協力を依頼している段階である。そして内外の学会・研究会での成果報告を行い、研究データの精査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初年度末に海外調査を予定していたが、調査先の連絡調整上の問題が生じたため、最終年度に実施することになった。
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Research Products
(3 results)