2019 Fiscal Year Research-status Report
Being Indigenous and being migrant: Indigenous Australians and Japanese migrants in northwestern Australia
Project/Area Number |
17K03275
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
山内 由理子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (50626348)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 日本人移民 / 先住民 / オーストラリア / エスニシティ / アイデンティティ / 語り / 食 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4-6月には、これまでの収集資料の整理や理論的文献を合わせての分析を行い、ブルームの日本人移民の子孫の人々の語りに多く見られる食というトピックを通じての彼らのアイデンティティの在り方を、歴史的社会的状況と合わせて分析を行った。そこに見られたのは、一方では、日本人移民との関係性、日本人移民の子孫としてのアイデンティティを主張する核として日本食が大きな役割を果たしてきたことであり、100年以上にわたる交流を続けてきた日本人移民との関係の深さが食にまつわる語りに表れているということであった。ブルームの日本人移民の子孫は既にまとまった「コミュニティ」を形成せず、社会科学上「統合」の基準を満たした状態にあるが、その中でも継続するアイデンティティの表出として食に関する語りが大きな役割を果たしていると言える。その一方で、白豪主義時代よりオーストラリア社会の例外として日本人移民との交流を続けてきたブルームでのエスニック間関係の在り方と、1970年代よりオーストラリアに導入されたマルチカルチュラリズムとが相克する現状において、食というモチーフが、現代のマルチカルチュラル社会をナビゲートしつつ、前者の立ち位置を主張するよすがとなっていることも分かった。この研究の成果の一部は6月の文化人類学会研究大会及び8月の西オーストラリア大学アジア研究科のセミナーで発表され、編集本の一章として執筆されている。 8-9月にはシドニー、ブルーム、パースにおいて文献調査を行い、更にブルームにおいては現地の日本人移民の間でフィールド調査、インタビュー調査を行った。11月にはブルームの日本人移民の子孫と日本人側のルーツの交流を企画し、参加後、当事者にインタビュー調査を行った。現在8-9月のフィールド調査・文献調査及び11月の調査の結果を分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年初頭より病気により体調をくずした。結果として療養することとなり、半年ほど科研費の使用も差し止めてきた。 2019年度には体調も回復し、2019年度に2018年度にする予定であった計画を行うことができた。しかし2019年度に当初予定していた研究はその分後ろ倒しとなり、2020年度まで持ち越さざるを得ない状況となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度には体調をくずしていたが、2019年度には研究に復帰し、2018年度での研究予定であった資料分析、成果発表、シドニー、パース、ブルームでの文献調査及びフィールド調査を2019年度に行うことができた。 2020年度には、その分後ろ倒しとなった2019年度の研究予定を行う方針である。具体的には2020年4-7月にはこれまでのフィールド調査で得た資料を中心に分析を行う。成果は10月の学会で発表する予定である。 2020年8月にはシドニー、パース、ブルームでの文献調査及びフィールド調査を行う。2020年9月-2021年3月には、8月での調査結果及びこれまでの調査結果を分析し、学会発表および論文、本の原稿の執筆を計画している。 ただし、現在の新型コロナウィルス流行の状況によっては、研究の変更または後ろ倒しを考慮せざるを得ない可能性もある。
|
Causes of Carryover |
2018年初頭より病気により体調をくずして療養することとなり、科研費の使用も差し止めることとなった。 2019年度には研究に復帰し、2018年度にする予定であった計画を後ろ倒しで行った。しかしその分2019年度に当初予定していた研究が2019年度には行えず、2020年度に行わざるを得ないので、次年度使用額が必要となる
|