2021 Fiscal Year Research-status Report
Being Indigenous and being migrant: Indigenous Australians and Japanese migrants in northwestern Australia
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17K03275
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
山内 由理子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (50626348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本人移民 / オーストラリア先住民 / アイデンティティ / エスニシティ / ミックス / 食 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は2020年度に引き続き調査対象地ブルームのある西オーストラリア州にCOVID19のために入国ができず、研究の主眼であるオーストラリアにおけるフィールド調査が行えなかった。また、調査のもう一方の軸として、中心的なインフォーマントであるオーストラリア先住民と日本人移民のミックスの人々に関し、彼らとともに彼らの日本側のルーツである出身地や親せきの人々を訪問し聞き取りを行う予定であったが、COVID19対策のため彼らの来日も不可能であった。 そのため、2021年度には2017年度より2019年度までの調査を通じて蓄積したデータを整理し、日本人移民とオーストラリア先住民のミックスの人々のアイデンティティをライフヒストリーや食にまつわるディスコースを中心に分析した。ライフヒストリーからの分析としては、オーストラリア先住民あるいは日本人移民の子孫というだけではくくれないミックスとしての独自の経験と個人のエスニシティ感覚の絡み合いが焦点となった。また、ミックスである経験を反映する媒体として、ブルームにおける日本人移民とオーストラリア先住民の交流の歴史より形成された独自の食とそれにまつわるディスコースが彼らのアイデンティティの在り方を浮かび上がらせる様が分析された。また、オーストラリアにとどまらず、オセアニア地域全体における先住民と移民とのミックスの人々の事例が重要な比較対象軸として認識された。 研究成果は二つの学会(GREENLAND-DENMARK 1721 + 300 = 2021、およびAnthropology of Japan in Japan, Annual Meeting)で発表されたほか、本の一章として出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も2020年度に続き、調査対象地であった西オーストラリア州にCOVID19のため訪れることができず、研究の主眼であったフィールド調査が行えなかった。現地のインフォーマントとはメールやSNSなどで連絡を取り合っていたが、やはりフィールド調査に比べると限界があった。 これまでのデータの整理と分析も行われたが、分析の検証と徹底のためのフィールド調査ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は西オーストラリア州の州境も外部に開かれたため、制限はあるもののフィールド調査が可能となった。2022年8-9月あたりに2020年度、2021年度より持ち越された一か月程度のフィールド調査を行い、データの補足や2020年度、2021年度に行った分析の検証を行う予定である。 2022年の5-7月にはフィールド調査準備のため、以前からのデータの整理とこれまでの分析より生じた収集対象のデータの把握を行う。 2022年9月―2023年3月にかけては、調査で蓄積したデータの整理と分析を行い、論文などの執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度には2020年度に引き続きCOVID19のため、フィールド調査の対象地であるオーストラリアに行くことができなかった。当研究は西オーストラリア州ブルームにおけるフィールド調査が主要なデータ収集手段であるため、研究そのものが延長されることとなった。ブルームでの調査に加え、オーストラリア在住のインフォーマントの日本の親族訪問に伴うインタビュー調査も予定されていたが、それも不可能となった。 2022年度は渡豪が可能となったため、次年度使用額として生じた分を2020年度、2021年度にできなかったオーストラリアにおける1か月前後のフィールド調査に充てる予定である。
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