2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03278
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
碇 陽子 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (10791866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市野澤 潤平 宮城学院女子大学, 現代ビジネス学部, 教授 (10582661)
渡邊 日日 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60345064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不確実性 / リスク社会 / 医療 / 観光 / 言語コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文化人類学における不確実性概念の理論的視座の構築を目指している。「リスク社会」といわれる現代社会について、近年、日常生活に潜む不確実性を排除し、自己の責任のもとでリスク管理を強いられる、不安に満ちた世界とする時代認識が広がりつつある。本研究のメンバーは、従来の「リスク社会」論的な、不確実性を排除し管理すべきものとしてのみ捉えるのではなく、不確実性の創造的側面、あるいは、必ずしも排除されるべきものとしてではない不確実性のあり方を再評価・再考する必要があると考えている。そのために、本研究では、(1)人類学と関連領域の不確実性についての文献を整理し、(2)各研究メンバーがそれぞれの研究対象において不確実性に関連する調査を実施し、それぞれの研究対象における不確実性の現れ方と不確実性概念を再考する。その上で、(3)研究会における議論を通して、不確実性を排除すべきものとしてのみ捉えるのではなく、その重層的で多面的な内実を整理し、人類学における分析概念として練り上げることを目指している。 本研究の構想である、不確実性概念の理論的視座の構築は、関連する研究会等への参加を通して、議論の洗練を試みている。人類学の研究者らとの交流を通じて、本テーマに関する闊達な意見交換を推し進めることができた。現在、不確実性を、その①認識論的な側面と②存在論的な側面に分けて整理している。前者は、疑いやトラブルの源泉として捉えられる不確実性や希望をもたらす源泉となりうる不確実性がある。後者としては、当事者がどのように不確実な世界を立ち上げていくのか、という部分に注目している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成29年度は、各メンバーによる、不確実性にかかわるフィールドワークを通じた質的データ、及び、先行の研究資料を収集することを活動の柱としており、研究代表者を中心に各メンバーがそれらの作業を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、各メンバーの資料収集、及び、質的データの収集を継続する。また、平成30年度は、宮城学院女子大学にて、外部からの発表者を呼んで研究会を開催することを計画している。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、平成30年度内に公開予定だった研究成果を平成31年度7月に延期したため、それに伴い、資料収集と編集に関わる費用を使用しなかった。今年度は、それを予定通り資料収集編集の一部として充当する。
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Research Products
(3 results)