2017 Fiscal Year Research-status Report
香港のイスラーム・ブームとムスリム社会の「周縁化」
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17K03282
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
王 柯 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80283852)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 香港 / イスラーム / 改宗者 / 相対的貧困 / 一国二制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度において、二回にわたって香港現地でフィールド調査を実施した。そのなか、芝湾モスク、九龍モスクにおける金曜礼拝調査、中華回教博愛社における香港住民のイスラーム信仰状況の調査以外、主に香港イスラーム連合会、香港林士徳イスラームセンター、香港ムスリム青年協会が設置されている愛群モスク、脱維善記念香港ムスリム中学校を拠点にイスラームに改宗した青年を対象とする調査活動を行った。この調査で使われたアンケート調査表は英語と中国語で作成したものであり、改宗を促した個人的、家庭的、社会的、経済的、政治的要因を詳細に把握するために作られ、数回の改訂を経てその項目の数は77に上った。モスクのウラマ、香港イスラーム連合会、香港林士徳イスラームセンター、香港ムスリム青年協会の団体職員複数名、中学校の校長、教育長を始め教員複数名の協力を得て、これまでにここ数年イスラームに改宗した青年ムスリム8名と面会し、本人に直接に聞き取り調査が実施した。またこれらの改宗者を含めて、そして彼らの協力を通じて、これまで全部で約19名の若い改宗者からアンケート調査をとることができた。その統計と内容の分析は現在なお進んでいますが、以前のムスリムとの婚姻にともなって改宗すると異なり、ここ数年みずからイスラームに興味を持ち始め改宗する傾向が見えるなど、調査で得たデータは近年ムスリムが増えつつある社会的、政治的原因を把握するうえで貴重なデータになると感じる。そのほか、この現地調査を通じて、香港ムスリム住民の人数変遷、宗教施設の状況、各団体の財政事情を記載する『香港イスラーム連合会年報』(1992-2003、2013-14年)、連合会が発行しているニューズレータ(多数)、青年協会が発行する不定期の雑誌(複数)、そして青年改宗者の読み物を大量に収集することができ、現在解読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、モスクのウラマを始め、中国の教員、各イスラーム団体の職員から協力を得て、調査と資料収集は非常に順調に進んでいる。これまで面会した青年改宗者も比較的に協力的であった。 2、調査で得たデータと資料は現在の香港の社会事情と政治経済と合わせて、青年たちはなぜイスラームに改宗するのかを分析上で本当に役立つものである。 3、性別的な制限もあり、さらに多くの青年改宗者と直接面会して調査を実施することはあまりできなかった。これから何らかの方法を講じてこの問題を解決する必要があると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1、入手した資料の解読をつづける。 2、アンケート調査の内容をさらに改善し、範囲をさらに広げて引き続き調査を実施する。 3、研究レポートの執筆に着手する。 4、学会等を利用して、研究手法と成果の交流を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
研究を継続するため、総額996,285円の研究費を使用する。前年度の残額96,285円は本来調査協力者への謝金としていたが、多くの協力者が謝金を謝絶したため生じた。 1、9月と2月において二回にわたって香港現地で調査を行うための旅費75万円;2、調査協力者への謝金10万円;3、関係図書資料の購入5万円;4、学会報告の旅費96,285円
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