2020 Fiscal Year Research-status Report
香港のイスラーム・ブームとムスリム社会の「周縁化」
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17K03282
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
王 柯 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80283852)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 香港 / イスラーム / 改宗者 / 相対的貧困 / 一国二制度 / 宗教観 / 自己同一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
香港ムスリム社会の歴史についての資料調査と分析はすでに完了し、とくに中国系ムスリム社会の現状についての分析は現在進行中である。そのなか、他の宗教信仰からイスラ―ムに改宗する若者の増加という現象に注目し、改宗者に対するインタビュー調査とアンケート調査の結果に基づいて、彼らの性別・年齢・教育・職業・経済状況・家族構成、とくに改宗の動機とイスラームに対する理解力などについての統計と分析が完了した。これまで現地調査が二年間以上連続して実施できなかったという状況のなか、調査協力者のプライバシーを守るために電子通信を使う調査手段も控え、彼らのSNSにおける発言を利用して、その宗教と政治運動・社会変動との関係についての考え方を調査し続けた。しかしこの方法で得た情報をどこまで信頼できるかという疑問が残され、現地調査を通じて確認する必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
香港は2019年度の大きな政治変動に続き、2020年度に新型コロナウイルスの世界的大流行にも見舞わられた。香港ムスリムのアイデンティティを分析する上で、これほど大きな政治と社会変動の発生による影響も無視できないが、しかし、政治不安定とコロナ禍によって、本研究にとって不可欠である現地調査が二年間連続計画通りに実施できなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1,現在主に他の宗教信仰からイスラ―ムに改宗する若者に焦点を絞り、改宗者に対するインタビュー調査とアンケート調査の結果に基づいて、個々人の性別・年齢・教育・職業・経済状況・家族構成と改宗する動機との関係性、とくに改宗する動機とイスラームに対する理解力などについて分析し、宗教信仰の面だけではなく、社会学の視点を併せ持つ論文を執筆中である。2,パンデミックの収縮時期を見て現地調査を行い、大きな政治と社会変動が香港ムスリムのアイデンティティに与えた影響を調査分析し、社会的角度から香港ムスリムを巡る状況と彼らの意識における変化の持つ学術的意義を探る。
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Causes of Carryover |
香港は2019年度の大きな政治変動に続き、2020年度にまた新型コロナウイルスの世界的大流行にも見舞わられて、本研究にとって不可欠である現地調査が二年間連続計画通りに実施できなかった。そのため、多くの課題が残り、また新たな課題も生じたため、今年度において二回にわたって長期現地調査を実施し、資料を購入することを計画している。
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