2019 Fiscal Year Research-status Report
ミャンマーにおける民族知とそのパブリシティに関する人類学的研究
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17K03283
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高谷 紀夫 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70154789)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミャンマー / 民族知 / パブリシティ / 人類学 / シャン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、多民族国家における多様な「民族知」の共存の動態を、パブリシティの視角から、ミャンマーを事例として人類学的に明らかにすることにある。 平成31(令和元、2019)年度は、「民族知」をめぐる共時的研究として、第一に10月にミャンマー・マンダレー大学から人類学部教授を招聘し、学術交流を実施して理論的深化を図った。第二にミャンマーの代表的な少数民族であるシャン族の文芸文化委員会及びその活動に関する臨地研究を実施した。具体的には、ミャンマーと中国との国境に位置するムセーで2019年11月末に開催されたシャン (Tai)暦2114年正月祝賀行事に、同地区文芸文化委員会の招待を受けて、参与観察を実施した。ムセーのシャン正月行事は、ミャンマー国内で本格的に行われた嚆矢ともされ、地理的位置から中国雲南省徳宏タイ族ジンポー族自治区在住のタイ系民族との相互交流を確認することができた。その考察結果の一部を、2019年12月に、2012年から客員教授を併任しているヤンゴン大学の創立100周年記念事業の一部であるThe Centenary of the University of Yangon International Conference and Round-table Discussion on Anthropology にて、Shan/Tai New Year Festivals in Myanmarと題して招待講演を行った。その内容は、活字化されて出版準備中である。 なお令和2(2020)年度に早稲田大学で開催予定の日本文化人類学会第54回研究大会に上記研究内容をまとめてエントリーした。査読の結果、発表が受理された。しかしその後の新型コロナウィルス感染による自粛で開催がキャンセルとなり、オンライン発表となったことを付記する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミャンマーにおける民族知とそのパブリシティの主体の代表例であるシャンの事例を、前年度のヤンゴン、マンダレーに続いて、ムセー・シャン文芸文化委員会とのコンタクトが実現し、一大イベントであるシャン正月の参与観察も実現した。また研究成果の現地還元も達成した。従って、一定の進捗状況は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2(2020)年度は、本研究計画の最終年度である。前年度は、シャン民族知を考察するに重要と思われるムセーでのシャン正月を参与観察できたこと、またその成果の一部を現地の国際会議で発表できたことは、最終年度となる次年度の活動に向けて確かな成果となった。現在まで蒐集したデータの分析をさらに深化させ、国内外での研究発表につなげて、最終成果報告に結実させる計画である。なお、最終年度に計画しているミャンマーでの臨地研究に関しては、新型コロナウィルス感染の影響次第で変更もあり得る。
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Causes of Carryover |
外国人研究協力者招聘計画実施で、次年度使用額が生じた。令和(2020)年度は最終年度であり、前年度まで蒐集した資料の整理とデータベース化を実施する。そのために人件費・謝金などを、予定より増額して活用する計画である。さらに並行して、総括的海外出張も実施する予定である。ただし、新型コロナウィスル感染の影響で、海外渡航が困難となった場合、大幅な変更もあり得ることを付記する。
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Research Products
(4 results)