2020 Fiscal Year Research-status Report
ミャンマーにおける民族知とそのパブリシティに関する人類学的研究
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17K03283
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高谷 紀夫 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70154789)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミャンマー / 民族知 / パブリシティ / 人類学 / シャン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2 (2020)年度は、本研究計画の当初の最終年度にあたり、ミャンマーでの調査研究と現地研究者との学術交流の総括を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大による渡航自粛で、渡航計画断念と変更を余儀なくされた。 上記の状況を勘案し、一年の事業期間の延長を申請し、令和3 (2021)年3月19日付で承認された。現地研究者とはメールなどで対応策を相談し、その結果、令和2 (2020)年度の研究活動では、収集済データの分析とデジタル化、及び総合分析の大枠検討を行い、文章化した。さらに研究成果の一部は、日本文化人類学会研究大会で口頭発表している。 研究代表者が文章化したのは、私家版『ビルマとシャンのエスノグラファーとして』で、令和3 (2021)年2月にまとめ、関係者に送り、今後の研究計画継続に備えた。同書の中で、ビルマの民族知とシャンの民族知の構築と相互作用、さらにその背景にある西洋近代知の介在のリアリティにアプローチした。具体的には、第一に、植民地時代に流入した民族知研究方法が、植民地政府のバックアップにより実践され、スコット(J.G.Scott)やエンリケ (C.Enriquez)などの報告書となって結実したこと、第二に、1948年の独立以降も、同研究方法の継承が行われ、ミャンマー国内の在野の民族知研究者に影響を与えていることなどを明らかにした。代表的な民族学者は、ウー・ミンナイン (U Min Naing, B.A.)である。晩年、彼が教鞭を取ったヤンゴン大学人類学科はその拠点のひとつである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大による渡航自粛で、渡航計画断念と変更を余儀なくされたから。しかしながら準備していた収集済データの分析とデジタル化を前倒しすることで、進捗状況をやや遅れに留めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の総括作業を実施する予定である。ただしミャンマーの政治情勢が令和3(2021)年2月より不安定となり、渡航が可能かどうか憂慮している。新型コロナウィルス対応と併せ、可能な限り、現地研究者と連絡を緊密にして、対応を講じる姿勢で臨む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大による渡航自粛で、渡航計画断念と変更を余儀なくされたから。令和3(2021)年度は、最終年度として収集済データの総合分析と研究計画全体の総括を行う。次年度の使用額は、可能ならば主に国内外の旅費に充当するが、困難な場合は、令和2 (2020)年度に続き、主に収集済データのデジタル化に活用する。
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Research Products
(1 results)