2020 Fiscal Year Research-status Report
生理用品の受容によるケガレ観の変容に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
17K03284
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
新本 万里子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (60634219)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 生理用品 / 月経 / ケガレ / 羞恥心 / 衛生 / 保健 / パプアニューギニア / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、本来ならば昨年度が最終年度であったが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、期間を延長して今年度の実施となった。今年度は研究のとりまとめの年度として、パプアニューギニア東セピック州と東部高地州で補足調査を実施することを計画していたが、今年度も新型コロナウィルス感染拡大の影響により補足調査は実施できなかった。 研究成果の公表としては、応用人類学会(Society for Applied Anthropology, 81st Annual Meeting, March 22-27,2021)において口頭発表(ポスター発表)を行ったほか、論文(「パプアニューギニアにおける月経の禁忌の実践とジェンダー・カテゴリー間の関係の変化――保健教育を受けた世代のサゴヤシ澱粉抽出作業をめぐって」越智郁乃・関恒樹・長坂格・松井生子編『グローバリゼーションとつながりの人類学』七月社 2021年3月)として発表した。 本研究の目的として、最終的には、生理的現象を忌避する世界の他の事例と比較し、生理用品の流入という同時代性から、月経のケガレ観の変容の比較研究へ昇華することを目指している。本研究ともう一つの科研研究(代表:大阪大学・杉田映理「グローバルなアジェンダとなった月経のローカルな状況の比較研究」2017年度-2019年度)に関連する研究会として、今年度10月より国立民族学博物館において共同研究「月経をめぐる国際開発の影響の比較研究――ジェンダーおよび医療化の視点から」を開始している。その研究会メンバーとともに、比較研究の議論を始めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度の補足調査は実施できていないが、成果として、国際学会での研究発表、論文発表などを行っている。また、本研究の最終的な目的として世界各地の事例との比較研究を目指していたが、今年度は共同研究という場を得て、世界各地をフィールドとする他の研究者とともに議論を開始している。本研究を再延長し来年度も継続することとしたが、さらなる成果発表へつなげていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究を再延長し、来年度も継続することとした。最終年度として補足調査の実施と研究成果の発表を計画しているが、補足調査ができるか否かはコロナウィルス感染症の状況次第であり、実質的には難しいと思われる。補足調査が難しい場合には、研究成果の発表に注力する。
|
Causes of Carryover |
最終年度として補足調査と研究発表にかかる旅費を見込んでいたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、どちらも実施できなかった。そのため、次年度使用額が生じている。 次年度も、補足調査や研究発表のための出張は難しいことが予想される。状況をみながら進めるが、旅費のほか、英文校正など研究発表にかかわる費用として使用する計画である。
|