2019 Fiscal Year Annual Research Report
Consuruction of Nationality and Ethnicity in Multi-ethnic State: Indian Diaspora in Malaysia
Project/Area Number |
17K03293
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
古賀 万由里 開智国際大学, 国際教養学部, 准教授 (20782345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒンドゥー寺院 / タミル語学校 / NGO / マレーシア / インド系移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
マレーシアのインド系移民の文化の継承とエスニシティ意識の形成について、スランゴール州、クアラルンプール、ペナン州、ペラク州で寺院、学校、NGOの観点から調査分析を行った。 ヒンドゥー寺院の実態調査から、寺院は次の3つのタイプに分けられることが分かった。1)インド系移民が土地を買収し建立したコミュニティの寺院、2)英領期にエステート内に建立された寺院、3)移転させられ、行政指導の下に統合、または集合された寺院。1)のコミュニティ寺院では、カースト意識による団結が強固であった。社会問題となっているのが、2)の寺院で、土地所有権を保有していない寺院は、開発に伴い撤去または移転されている。近年、州政府の指導の下に寺院が一角に集められて建てられる傾向がみられた。 また、ペナン島の巡礼地の寺院の調査では、コミュニティによる祭礼に州政府が関与し、対立しながらも共存している実態が明らかになった。 学校における宗教教育の実態を調べたところ、政府系の小学校には、国立(マレー語が媒体語)小学校、中国語学校(中国語が媒体語)、タミル語学校(南インド人の母語であるタミル語が媒体語)があるが、正規の授業で教えらえているのは、国立小学校でのイスラーム教のみであり、ヒンドゥー教はタミル語学校でNGO団体等によって課外で教えられていることが分かった。 インド系のアドボカシー型NGOを訪問し、活動内容を調査した結果、家庭に何らかの問題があり、学校をドロップアウトした子供たちは、職業訓練を受けることにより生活基盤を築いていることが分かった。 イスラーム教が国教であるマレーシアにおいて、ヒンドゥー教徒は政府や開発業者と折り合いをつけながらヒンドゥー寺院を維持し、NGOの協力を得ながらタミル語学校などで宗教文化を伝えたり、経済的支援を可能としてることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)