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2018 Fiscal Year Research-status Report

Socio-Cultural Study of National Parks Which Face Deforestation from Palm Oil Development in Indonesia

Research Project

Project/Area Number 17K03295
Research InstitutionHosei University

Principal Investigator

中島 成久  法政大学, 国際文化学部, 教授 (80117184)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsアブラヤシ農園開発 / ジャンビ州 / ブキット・ドゥアブラス国立公園 / オラン・リンバ / タリブ氏 / ホンポンガン / 野生ゴム / 適応戦略
Outline of Annual Research Achievements

2018年度はジャンビ州の狩猟採集民族オラン・リンバが、アブラヤシ農園開発でどのような影響を蒙り、どのような対応をなしているかの研究を行った。1980年代半ばからジャンビ州中央部でのアブラヤシ農園開発は活発になり、オラン・リンバの住む森は大規模な農園に転換された。そうした外部の動きにほとんど抵抗らしき抵抗もできず、土地を奪われていった。ところが、最近になって、失われた土地の回復を目指す動きが主張されていて、他の運動との連携が必要とされているが、「先住民運動」の独特な展開により、そうした動きは停滞していることが分かった。
2000年にブキット・ドゥアブラス国立公園ができ、オラン・リンバに限ってその中で経済活動が可能にされた。インドネシア政府はこの国立公園の制定でオラン・リンバの保全は済んだと思っているようだが、600平方キロと狭い国立公園であり、また以前産業造林政策で切られた地域が大半であり、狩猟採集民族が十分な経済活動をするには不十分である。公園周辺域には森にもすめず、アブラヤシ農園からは締め出されたオラン・リンバの人々が数千人規模で住んでいて、彼らの救済をどう行うかは喫緊の課題となっている。
そういう状況下にあって、タリブ氏という傑出した指導者のライフヒストリーを分析し、巨大アブラヤシ企業への適応戦略を示すことができた。タリブ氏は1990年代半ばから彼の傘下グループの遊動域に近づいてきたアブラヤシ農園開発から遊動域を守るために「ホンポンガン」という境界地に野生ゴムやドリアンなどを植林し、今ではその境界地から上がる収入で一族の自立を可能にしていることが高く評価され、インドネシアの環境保全に貢献したとして2度表彰されている。
報告者の研究は、インドネシアの先住民運動を担う団体との共同でなされたが、そうした団体とのさらなる連携を深めるきっかけを築くことができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

課題にあるように本研究は、アブラヤシ農園開発で危機に瀕するインドネシアの国立公園の社会文化的研究であり、ジャンビ州の先住民族のオラン・リンバのここ50年にわたる歴史とジャンビ州におけるアブラヤシ農園開発、それに2000年に成立したブキット・ドゥアブラス国立公園の成立とその後の展開を詳細に明らかにすることができたので、当初目指していた課題の80%は達成できたと思っている。
また、2007年の「先住民増の権利に関する国連決議」にインドネシアは棄権したが、それは一貫して国際先住民族運動を認めてこなかったインドネシア政府の姿勢を表していて、それによってインドネシア国内での先住民族の位置づけがきわめて脆弱になっている現実を明らかにすることができた。

Strategy for Future Research Activity

2019年度はオラン・リンバがどのような過程を経てアブラヤシ農園開発に巻き込まれてきたかを各遊動域ごとに明らかにする作業をまず行う。ほとんどインドネシア語の読み書きができない彼らはどのような形で土地の明け渡しに応じたのか、そこに十分なFPICはあったのかどうか、詳細に検討する必要がある。
さらに、リアウ州のテッソニーロ国立公園での聞き取りを行う予定である。アブラヤシ自営農民が公園内に違法入植し、その3分の1はすでに破壊されているこの国立公園の現状を明らかにすることは本研究をさらに推進するためには意義深いことである。

Causes of Carryover

2018年度は予想以上の研究成果が上がり、また申請者のインドネシア人の友人が京都大学に招聘されていて、東京で講演会を実施するために、2019年度予算から15万円を前倒ししたが、想定していたよりも経費がかからなかったため、13,000円余りは余ってしまった。この13,000円は2019年度の旅費に充当する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] ジャンビ州の森の民オラン・リンバの先住民族権――巨大アブラヤシ企業への抵抗と適応戦略2018

    • Author(s)
      中島成久
    • Organizer
      白山人類学会
    • Invited
  • [Presentation] インドネシアにおけるニアス人アブラヤシ農園労働者2018

    • Author(s)
      中島成久
    • Organizer
      日本国際文化学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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