2020 Fiscal Year Annual Research Report
An Anthropological Study for the Coexistence of Whaling and Whale Watching.
Project/Area Number |
17K03306
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Research Institution | Sonoda Women's College |
Principal Investigator |
浜口 尚 園田学園女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (30280093)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 捕鯨 / ホエール・ウォッチング / ドミニカ共和国 / ベクウェイ島 / ニューイングランド地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度に当る令和2年度は、前3年間に実施した海外現地調査(平成29年度:ドミニカ共和国、平成30年度:セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島国、令和元年度:アメリカ合衆国)により収集した捕鯨とホエール・ウォッチングにかかる各種資料を分析、検討した。その結果得られた主たる成果は次のとおりである。 (1) ドミニカ共和国サマナ地域においては、過去9年間にホエール・ウォッチング参加者は2.2倍に増加しており、ホエール・ウォッチングが地域経済の活性化に大きく貢献していることが理解できた。また、サマナ湾一帯は北大西洋を回遊するザトウクジラの出産・仔育て海域となっており、毎年一定期間(1月~3月)に一定数のザトウクジラ母仔が滞在するため、安定的なホエール・ウォッチング事業が実施できることもあわせて理解できた。 (2) これに対して、同系群のザトウクジラを対象として先住民生存捕鯨を実施しているセント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島国ベクウェイ島においては、捕鯨業から引退した2人がホエール・ウォッチングの創業に向けて準備を始めていたが、ベクウェイ島周辺はザトウクジラが通過するだけであり、収益をあげられる安定的なホエール・ウォッチングの実施には多くの困難が伴うであろうことが想定された。 (3) かつて捕鯨産業が地域経済に繁栄をもたらしていたアメリカ合衆国ニューイングランド地方は、現在はホエール・ウォッチング事業によって潤っている。その一方、捕鯨の歴史は地域内の捕鯨博物館において詳細に語り継がれ、鯨の消費的利用にも一定の評価が与えられている。過去において捕鯨が実施され、現在はそのかわりにホエール・ウォッチングが実施されている当該地域において、捕鯨博物館が捕鯨とホエール・ウォッチングの共存に向けて幾分かは寄与していることが理解できた。
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Research Products
(1 results)