2017 Fiscal Year Research-status Report
The Actual Situation of Beauty Culture from 1930s to 1960s
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17K03307
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
青木 隆浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70353373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 民俗学 / 化粧文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,おもに1930年代から1930年代にかけての化粧文化について,その実態を探るものである。大正時代までの日本では,洗顔と水性のバニシングクリームによるスキンケアをした後に,薄く白粉を塗るのが日常の一般的な化粧法であった。ところが,大正末期にハリウッド映画が人気を博し,昭和初期からアメリカ映画女優のメイクをまねたモダンガールが出現すると,都市部を中心に少しずつメイクが普及していった。 ただし,その流行期間は短く,第二次世界大戦による「ぜいたくは敵だ」というスローガンや化粧品に対する高額な物品税の導入などにより,メイクの流行は去っていった。本研究課題は,その背景にある社会的・経済的条件とそれらによって変化していった化粧に対する道徳観・価値観の変化を取り上げ,さらに戦時・戦後期に化粧離れが進んだ後,1960年代に再び化粧が人々の生活に定着する様子を明らかにするものである。 この目的に対し,平成29年度はすでに企業から借用している業界紙やPR誌をスキャンもしくは撮影・整理し,かつ同業者のPR誌や広告,社史,商品を購入しつつ,リスト化していった。また,それらが作り出された背景を探るために,『化学工業統計年報』などの基本的な統計データを収集して,分析をおこなった。さらに,各社の歴史的な動向を把握するため,クラブコスメティックス文化資料室や伊勢半の紅ミュージアムで,展示担当者の解説をうかがいながら,企画展示を見学した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の青木が,平成29年2月に腰と膝を痛め,さらに同年6月初旬の通勤中に自転車をぶつけられて肋骨2本の骨折と頚椎捻挫の重傷を負ったため,一時パソコン入力や筆記が困難になった。その後も腰と膝の状態が長く回復しなかったため,長距離の出張や長時間にわたる写真撮影を控えた。このため,研究課題の遂行開始が遅くなり,かつ調査内容に大きな制限が生じた。 その一方で,企業から借用した資料のスキャニングや写真撮影,新たな資料収集など,できることから作業を始めていった。それでも,その分量が膨大であることと,資料の紙質が悪く,取り扱いに慎重を要するため,借用・収集した分をすべてデータ化することができなかった。 なお,資料収集については,平尾賛平商店(レート)や久保政吉商店(ウテナ),伊東胡蝶園(パピリオ)など,戦前の大手企業に関するものがあまり進んでいない。業界紙の『週刊日本商業新聞』の所在も探しているが,まだ見つかっていない。それらについては,業界団体の日本粧業会への調査依頼がケガのためにできていないこともあって遅れているので,できるだけ早く対処したい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,現在企業から借用している資料のスキャニング・写真撮影と整理をできるだけ早く終了させたい。次に,日本粧業会に資料閲覧の申請をおこない,業界紙・業界雑誌・組合資料の所在確認と撮影を進めていく予定である。この業界団体での資料撮影は,ケガのためこれまでほどんど遂行できなかったことなので,重点を置いて取り組んでいきたい。 また,企業PR誌やチラシ,ポスターなどの広告媒体,実物資料の収集を進めるとともに,その普及や使用法などを調査するため,主要な婦人雑誌の誌面分析を進めていく。そして,まとまって資料収集できたところからデータの分析を始めていきたい。 同時に,これまでお世話になっている企業の展示見学や聞き取り調査をおこなう。とくに,今年度は株式会社コーセーが創業70周年を記念した冊子を刊行する予定であり,すでに借用している資料調査と合わせて,それを参考にしながら積極的に調査を進めていきたい。
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