2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03319
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
緒方 賢一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (00380296)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一般社団法人 / 農地管理 / 地域的公共性 / 農山漁村 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目は、農業・農村分野で一定程度研究が進んだ。まず、2018年5月、日本法社会学会年次大会ミニシンポジウム「漁場・農地・森林の過少利用問題と規制改革への視座」において、緒方賢一「農地の過少利用現象とその対応策」と題した報告を行い、一般社団法人による地域の農地管理の可能性について検討した。一般社団法人の農業参入、農地管理については2018年度日本農業法学会年次大会で森剛一「一般社団法人による地域資源管理の現状と課題」報告を聞いて、既に一定程度実現していることが確認できた。 また、石川県河北郡津幡町の(株)JAアグリサポートかほく、高知県高知市農業委員会をそれぞれ訪問する機会があり、現場からの情報提供を受け、農地管理に関する意見交換を行った。このほか、第56回石川県農業委員会大会では基調講演者、平成30年度全国農業委員会会長代表者集会のパネルディスカッションでは助言者として参加し、農業・農村の現状について情報収集するとともに、農政、農業委員会関係者と意見交換を行った。 論文としては、緒方賢一「農業委員会組織・活動の課題と展望」『農政調査時報』581号(2019/3)において、一般社団法人へ移行した国農業会議所、都道府県農業会議の一般社団法人化も含めた2015年農業委員会法改正の影響について検討した。 漁業分野、林業分野については、上記法社会学会シンポジウムの亀岡鉱平「地域社会を見る視点としての漁協とその役割」、片野洋平「地域社会に放置される財の状況とその対策」の各報告を聞いたほか、「グローバル化時代における海洋生物資源法の再構築」(基盤(B)16H03570)、「パネルデータ分析による入会林野近代化法50年の総括」(基盤(C)17K03335)等の関連する科研費研究の研究会に参加し、情報収集と意見交換を行い、研究についての協力関係を築くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
農業・農村分野における一般社団法人の活動実態と展開については、現時点でのという留保は付くが、一定の研究成果は上がり、研究課題をクリアできる目途が立った。 昨年度協力依頼を行い、承諾を受けた(一社)全国農業会議所ほか、農業委員会系統組織の協力により、石川県かほく市、高知県高知市で調査を行うことができ、調査結果の一部を論文として公表できた。また、日本法社会学会で報告をすることもできた。 漁業・漁村、林業・山村等については、それぞれ関連する科研費研究会に参加し、研究における連携体制を構築することができた。今後、これらの分野における一般社団法人による地域的公共性の実現可能性について具体的に検討していく目途が立った。 一方、一般社団法人そのものの研究および、地域的公共性の一般的実現可能性といった理論的な部分での研究、検証は十分に行うことができず、今後の課題として残っている。 研究全体として、現地調査をさらに多くすることが必要であるし、理論的な検討も必要で、残り1年の研究期間内で相当程度遅れを取り戻す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
農業・農村分野の調査、研究は一定程度進んでいるので、漁業・漁村、林業・山村分野についても現地調査も含め研究を進め、農山漁村全体における一般社団法人等の組織の地域の維持・管理機能について明らかにしていく。 その上で、現地調査も含め、現場から収集した情報を整理、分析し、一般化する作業を行い、研究全体のとりまとめを行う。現地調査については、今年度は鳥取県及び高知県の遊休農地対策の現状について調査する予定となっているほか、必要に応じて一般社団法人が置かれている現地を訪問し、調査を行いたい。 学会報告、投稿論文等、研究成果について公表する機会を積極的に求めていく。
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Causes of Carryover |
現地調査や他の科研費研究会、学会参加等の旅費については、他の研究費や招待その他で使用しなかったため残額が多くなっている。今年度の現地調査、学会参加等については当科研費の旅費を積極的に使う。
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Research Products
(2 results)