2018 Fiscal Year Research-status Report
Legal Policy Study on the inter-regional tax relationship and process for justification of tax base division
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17K03351
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川端 康之 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70224839)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国家補助 / デジタル・サービス税 / DST / 租税条約 / 欧州委員会 / BEPS / 国際的租税回避 / 付加価値税 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第2年度である2018年度は、第1年度と同様、OECDや欧州共同体、米国の情報を収集すると同時に、暫定的な研究成果として中間的な整理を国際シンポジウムにおいて発表し、参加者から関心を得た。 本年度は、OECDとEUが、OECD/BEPSプロジェクトの不完全さから、その完成時期までの間に暫定措置として電子サービス税(Digital Service Tax, DST)を国内的に、あるいは共同体として賦課する政策提案が相次ぎ、その一部はすでに取り下げられたものの、欧州対米国という鋭い利害対立が、やはり顕在化した一年間であった。 そのため、本件研究においてもそのような点についての基礎調査、欧州学会参加による現地での動向調査、韓国ソウル私立大学・オーストラリア国立大学国際共同シンポジウムでの招聘講演などを行った。 とくに、韓国における国際共同シンポジウムでの招聘講演は、欧州対米国という構図を国家補助という視点から再定義し、米国に対して厳しく対抗しようとする欧州の状況に力点を置いて私見を述べたが、それに対してオーストラリアの専門家からは興味深いとのコメントを得た。域外国としての日本とならぶオーストラリアが当職のような視点から分析していないことを知った点は興味深いことであった。 次に、2017年ごろから欧州を中心に議論が顕在化したデジタル・サービス・タックスについても、欧州、米国、アジアの3地域間の租税関係に大きく影響を与えそうな動向になりつつある。欧州委員会の標準案とフランス、英国の独自案が欧州域内でも乱立する現状では、欧州域内自体の動向の調査が不可欠となりつつあり、この点については2019年度の研究に際して欧州研究者から情報収集を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って順調に進捗している。 また、当初は想定していなかったが、外国大学で開催される国際シンポジウムに招聘され、本研究の成果の一部を発表し外国研究者からコメントを得ることができたことは、第3年度に向けて大きな進捗であった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は3年間の研究期間の最終年度に当たるため、これまでの資料・情報収集をもとに、欧州、米国及びアジアの三地域間での非居住者外国法人課税の動向を整理し、本研究の一応の結論を導く。ただし、2017年ごろから顕在化している、とくに欧州におけるデジタル・サービス・タックスの動向もフォローする必要があるので、本研究の結論は一応のものでしかない(デジタル・サービス・タックスと従来の所得課税の改善、OECD/BEPSプロジェクトの帰趨は大きく相関していることが、欧州の動向から明らかになっている)。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた雑誌の納品が遅れたため。当該雑誌については2019年度(第3年度)に購入する予定である。
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Research Products
(5 results)