2019 Fiscal Year Annual Research Report
Prior Injunction of Publication based on the Rights of Author and Freedom of Expression
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17K03358
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大日方 信春 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (40325139)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表現の自由 / 著作者の権利 / 著作権 / サイトブロッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度に実施した研究の成果】 著作者の権利に基づく表現の事前差止めの可否と表現の自由の問題を検討してきた本研究は、最終年度にいたって、同テーマのカテゴリに入る非常に今日的問題を検討することになった。それは「著作権侵害サイトのブロッキングと表現の自由」という問題である。 この問題に対して、本研究は、著作権侵害サイト(海賊版サイト)を表出する自由は保護されないであろうこと、著作権を保護するたに同サイトへのアクセスを遮断すること(表現行為に対する事前差止めの一種)は、表現の自由を侵害するものではないことを、日本知財学会第60回研究会(2019年9月12日)で報告したあと、日本知財学会誌16巻3号(2020年3月)で公表している。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 本研究は、著作権による表現行為に対する事前抑制の法理について検討するものであった。このテーマについて、研究代表者は、著作者の権利を守るための事前差し止めが表現の自由を制約することになるという枠組みを設定したあと、研究期間の前半は主に表現の自由を保護する視点からの議論を、後半は著作者の権利を保護する視点に軸足を置いた議論を展開してきた。しかし、いずれも、研究代表者が常々提示してきた〈著作権を保護することは表現の自由の制約にあたる〉というという議論枠組のなかで、それが許される場合/許されない場合を従来的な憲法適合性判断の手法を用いて検討できる、そういう問題であることを明らかにすることができたと思われる。
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