2017 Fiscal Year Research-status Report
地方議会改革及び地方選挙改革を通じた地方自治法制整備に関する比較実証研究
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17K03363
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大橋 洋一 学習院大学, 法務研究科, 教授 (10192519)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地方議会選挙法制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地方議会が現代の分権型社会において果たすべき諸機能を指摘した上で、地方議会の機能を活性化するための法制度改革について、選挙制度まで含めて探究するものである。本研究は、議員の担い手を広範に確保する手法や、地方議会が積極的に活動するための基盤的制度設計を提示することを最終目的とする。本研究は、手法として、日本法に関する実証研究と、ドイツ法との比較研究を組み合わせることを意図している。その前提として、現時点において地方公共団体が抱える問題分析を進める必要があるほか、地方分権改革がどこまで進展してきたのかという点に関して、現時点における総括を行う必要がある。 2017年度は内閣府において実施されている提案募集制度の専門部会に委員として一連のヒアリングに参画し制度改革に参画するなど、実際の制度運営を体験し、地方行政の実情を分析する機会を得た。このほか、愛知、青森、福岡など、各県に出向いて地方公共団体の職員と意見交換したほか、講演の機会を持ち、地方自治の進展状況に関して現状認識を深めることができた。その成果として、現在進展している提案募集制度に関する分析を論文として整理し、地方法施行70周年記念論文集に公表することができたほか、2018年3月には、内閣府の主催するシンポジウムでパネラーとして参加して意見交換の機会を得たほか、研究成果を自治体や国の行政関係者の前で披露することができた。このほか、行政法の基本書を本年度は2冊公刊することができ、こうした著作においても、本研究の成果が随所に活かされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の概要で既に示したとおり、これまで地方公共団体における自治の進展に関して、審議会参加、講演会実施、地方公共団体職員との面談など、多面にわたり実証的に分析を進めることができた。既にその成果を社会還元するに至っている。こうした成果の一部は、既に論文や著書の形で公刊することもできている。また、地方議会改革に関しては、自らが参画した研究会の成果を総括すると共に、新たに総務省等で組織された議会改革関連の研究会の資料を収集、分析するに至っている。なお、海外分析の部分はまだ充分には進展できてはいないが、この間、ドイツ・コンスタンツ大学のハンス・クリスティアン・レール教授と密接に連絡を取り、2018年には資料収集や意見公開の機会を確保したほか、ドイツの主要教授を集めたシンポジウム(2019年3月を予定)での講演も予定している。こうした機会を活用することで比較法研究の成果を上げる道筋を付けることができた。さらに、上記研究論文を収録した論文集の公刊も2018年度には予定しており、出版社との交渉もほぼ最終段階にあり、本年夏前には契約、公刊実施へとつなげる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、ドイツ・コンスタンツ大学のハンス・クリスティアン・レール教授の協力を得て、コンスタンツ大学のゲストハウス等を拠点にして、ドイツの教授との面談や意見交換を実施する計画である。特に、ドイツの自治法制・比較行政法制に詳しい、ハイデルベルク大学のシュミット・アスマン名誉教授を訪問する。合わせて、大学図書館における文献収集を行う。このほか、2019年3月開催予定の日独シンポジウムに出席し、講演することを予定している。ドイツ法に関しては、連邦レベルの法律改正の取り組みのほか、自治体が近年、条例等を通じてどのような制度化を図っているのか、議員の多様性確保をいかにして図っているのかを中心に、ドイツの研究機関で調査を行う。上記機会を利用して、比較法研究の進展を図る。 また、総務省の研究会が地方議会改革に関する報告書を提出したことから、これの批判的検討に加えて、ドイツの自治法、選挙法の基本的な仕組みを中心に、自治体相互の連携関係、市民との協力関係をめぐる法律問題を分析し、比較を進める。
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Causes of Carryover |
2017年度終盤に注文した文具の納期が予定よりも遅れ、検品が4月1日以降になってしまったことが、2018年度に次年度使用額を発生させた主要な理由である。 次年度使用額となった部分の大半は、すでに2018年4月上旬には納品され研究に利用されていることや、2018年度は海外研究の機会を予定しており、その関連で事前準備に要する必要書籍等も多くなることや、2017年度よりも研究に要する費用が多く見込まれることなどから、次年度使用額が生じたことによる研究への支障のおそれは存在しない。なお、2018年度は、研究費用の使用計画を自己の管理用に作成し、計画的かつ適時に研究費の執行が図られるよう最大限の留意をする所存である。
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Research Products
(4 results)