2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03371
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
蔡 秀卿 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00262832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尹 龍澤 創価大学, 法務研究科, 教授 (50151767)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 法治主義 / 法治国 / 依法行政 / 比例原則 / 平等原則 / 信頼保護の原則 / 信義誠実の原則 / 不当連結禁止の原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、11月25日に「東アジア行政法研究会」を開催し台湾、中国、韓国の研究者を招聘し、それぞれ、自国の行政法の基本原則を報告してもらい意見交換を行った。また、本研究成果発表を予定している2019年6月1日比較法学会ミニシンポジウムに向けて、同年3月に本研究分担者等と研究会を行い、東アジアにおける行政法の基本原則の共通課題等について意見交換を行った。これまでの文献整理を踏まえて以下のことが明らかになった。 1 台湾行政法の基本原則について、1991年までには権威主義体制や中華民国史観の支配の下で形式的法治国観の時代であった。1991年以降台湾史観の台頭による「台湾化」・民主化により権威主義体制の崩壊、台湾社会に適合する7回の憲法改正を経て統治システムが大きく転換した。行政法の基本原則は民主主義や人権保障と結びつくものに転換した。裁判実務における行政法の基本原則の審査が活発である。さらに行政通則法の整備がほぼ整うことになった。依法行政以外の基本原則も確立しておりこれらの裁判実務事例も数多くある。他方、経済やヒトのグローバル化の影響で、外国人労働者の受け入れなどにより、出入国関係訴訟や外国人の権利をめぐる訴訟、民営化関係訴訟の増加などにより行政訴訟審級の改正、民営化紛争対応のための紛争処理制度の整備などで対応してきた。 2 韓国行政法の基本原則について、民主化以前の軍事・開発独裁体制時代と民主化以降に分け、それぞれの時代における法治主義の意味合いが異なり、また、行政手続法や判例法においていくつかの行政法の基本原則が確立している。 3 中国行政法の基本原則について、1985年から89年までは「行政の合法性」と「行政の合理性」の2原則が確立し、1989年以降基本原則が多様化・多元化している。学説について2原則堅持説、2原則一部修正説、独自の分類方法説の3つの考え方が存在している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、文献整理を進めてきたとともに、前述の「東アジア行政法研究会」を通じて台湾、中国、韓国の研究者の知見を得て、各国の行政法の基本原則への理解を深めることができた。台湾行政法について裁判例が豊富であり重要な行政法教科書を概観し行政法の基本原則の裁判例を整理してきて全体として順調に進めている。韓国行政法については分担者の体調崩れもありやや遅れている。中国行政法については学説が多様で百家争鳴の状況であり同一者の見解の頻繁な変更、論理の連関性や原則の意味が不明や難解であることが多く全体像の把握が容易ではないが、さしあたりの整理ができており、中国行政法・行政法の基本原則の特徴を明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年(令和元年)は、本研究成果公開の一環として6月比較法学会ミニシンポジウム報告を予定している。そこで各国の行政法の生成と展開、基本原則の状況、特徴や課題を報告し、東アジアにおける行政法の基本原則の共通課題を考えてみたい。報告原稿を同学会誌「比較法研究」に掲載する予定である。 また、最終年度である今年度中、本研究の成果をまとめる書籍の出版も計画している。
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Causes of Carryover |
韓国や中国行政法関係文献(特に判例集等)が不足しており、また、東アジア行政法の課題を検討するには近年の日本行政法関係文献を網羅的に入手する必要がある。2019年度は引き続き、近年の行政法教科書、判例集・資料集、学術書などを購入する予定である。
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[Book] Sports Law-Present and Future2018
Author(s)
Kee-Young YEUN, Dimitrios P. PANAGIOTOPOULOS, Klaus VIEWEG, Stawomir FUNDOWICZ, Anna Di GIANDOMENICO, Hongjun MA, Maria Francesca SERRA, O.A. KASHURO, E. LUBRANO, Yong-Taek YOON, Valentina PORZIA, Rui Alexandre JESUS, Steve CORNELIUS, Cheonsoo KIM, Seok-Chan YOON etc.
Total Pages
530
Publisher
CHAEK YEARN PUBLISHING CO. Seoul, Republic of Korea
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