2017 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な資源経済政策における多層的公益の調和型制度設計ー日独比較法研究
Project/Area Number |
17K03375
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
勢一 智子 西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境法 / ドイツ法 / 再生可能エネルギー / 資源循環法 / 持続可能な発展 / 容器包装法 / FIT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,環境法と経済法の融合領域となる資源経済分野を素材とする比較法研究を通じて,政策形成のグローバル化のもと動態的判断が要請される局面において,国際的,国内および地域レベルで多層的に構成される公益間の調和と共存を目指す法政策について,そのメカニズムと法的特色を明らかにすることを目的とする。 本研究の初年度として,ドイツの環境法および資源経済法を参照領域として,持続可能な資源経済政策に関する制度理論研究および事例研究を実施した。 制度理論研究として,現在までの制度理念や学説の展開を整理した。環境法およびエネルギー法において,これまでに形成されてきた政策理念・法原則,手法の基本思想およびその背景を分析した。具体的には,「持続可能な発展」理念を展開し,詳細化する理論を中心に検討した。エネルギー法政策の動向に関連して,近時の政策展開としてエネルギー・シフト(Energiewende)の議論についても制度形成との関係の整理を行った。 事例研究は,主に2つの分野,再生可能エネルギーと再生循環資源の分野を対象として,各分野に係る政策形成・制度設計の経緯・背景等を調査した。再生可能エネルギー法の改正とFIT制度の推移および脱原発政策の実行に係る諸制度の動向,循環経済法,容器包装法を中心とする循環資源分野の法改正動向について調査研究の対象とした。また,現地調査を実施して地域事例を把握し,立法資料・行政資料などの最新資料の収集に努めた。 あわせて,研究成果の一部については,研究報告や研究論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年は研究対象となる法領域で法令の制定・改正が多く,制度動向を把握するために幅広い情報収集が必要となったが,同年度後期に所属大学の研究プログラムを利用して,ドイツに短期研究滞在をすることができ,それにより比較的順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は,比較的順調に研究を進めることができており,研究の基礎資料も予定通り収集することができた。次年度以降は,初年度の成果をもとに事例調査を本格化させるとともに,頻繁に行われる法制度改正に応じて研究資料等の更新も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度は,後期にドイツ滞在の機会を得ることができ,現地での研究調査により研究計画を進めることができたが,その一方で,日本国内で予定していた調査研究に充てる時間が十分に確保できず,そのために予定していた国内出張や邦語文献の収集が計画通りにできなかった。先送りとなった計画は,次年度に改めて実施したい。
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